芸能界も五輪フィーバー。特に、東京五輪の開会式を盛り上げる総合演出は誰が担当するのか、インターネット上では早くもいろいろな名前が飛び交っている。中でも、先週に引退会見を開いたばかりのアニメーション監督、宮崎駿監督(72)が早くも有力候補として世間から注目を集め出している。
五輪の開会式は、全世界が注目する最大のパフォーマンスイベント。開催国が総力を挙げて、文化や芸術、技術を紹介するのが常だ。昨年のロンドン五輪では「スラムドッグ$ミリオネア」で米アカデミー賞を獲得したダニー・ボイル監督(56)が芸術監督を務め、映画「007」シリーズのジェームズ・ボンドとエリザベス女王のコラボシーンが大いに世界を盛り上げた。
北京五輪では中国を代表する映画監督のチャン・イーモウ監督(61)が開閉会式の演出を担当。紙に注目して中国の歴史を紹介する長大なイベントを繰り広げた。日本では長野五輪で、劇団四季の浅利慶太氏が総合演出を担当した。最近の五輪では映像や音楽の扱いにたけた映画監督が演出面の責任者に起用されることが多い。
東京五輪が決まるとさっそくネットでは演出では誰がふさわしいか、数々の名前が飛び交った。その中でも目立ったのがスタジオジブリの宮崎駿監督だ。映画評論家の小張アキコ氏は「開会式に“トトロ”が登場したら世界中の人たちが大喜びするだろう。ロンドンでのボンドに対抗する日本のアイコンはトトロ」と言い切る。ロンドンでも飛行機を使った立体的な演出が好評だったが、飛行機好きの宮崎監督だけに、「トトロの森からトトロが登場するだけでなく、空を使って、飛行機や飛行船などいろいろ駆使した演出が期待できる」と想像を膨らませる。
先のベネチア国際映画祭では受賞を逃したが、日本のアニメの頂点に立ち、オスカーやベルリン国際映画祭グランプリなど実績は申し分なしの宮崎監督だけに、“復帰”に期待する声は、日に日に盛り上がりそうだ。
その他に小張氏は「子役を使った演出では、世界で右に出る者のいない是枝裕和監督も適任。日本の未来を担う子供たちをメーンに使った演出になりそう。東京出身の北野武監督も下町心を忘れない演出をしてくれそう」と話す。映画界以外では、バレエダンサーの熊川哲也(41)や、日本の伝統芸能を考えると坂東玉三郎(63)も面白いと小張氏は挙げる。
ネットでは他に、AKB48をプロデュースする秋元康氏(55)や、日本を代表する演出家の蜷川幸雄氏(77)の名前も挙がっている。
宮崎監督や蜷川氏のような大御所には体力面の不安もつきまとうが、それでも期待する声が多い。世界中が開会式の演出を楽しみにするようなクリエイターに腕をふるってもらいたい。