高月靖さん「キム・イル 大木金太郎伝説」 日韓の壁越えたプロレス一匹狼の半生に迫る (2/2ページ)

2013.12.22

連載:ブック

 ──故郷の人々や家族は大木をどう見ていたのでしょう

 「故郷の大恩人として、かなり慕われていたようです。大木のおかげで電気が通ったという話は、だれもが知っていたことです。大木の娘からは、『日本のファンには今でも心から感謝している。本を通じてお礼を伝えてほしい』と何度も言われました」

 ■あらすじ 韓国・全羅南道の貧しい小島で生まれた大木金太郎は、青年時代に民衆蜂起を鎮圧しようとする当局の弾圧で命の危険に晒される。生きづらい韓国に見切りを付けて、妻子を残して日本へ密航。体つきから才能を見込んだ力道山がスカウトして、日本プロレスに入門する。

 力道山の死から日本プロレスが分解して群雄割拠となったプロレス界を一匹狼として渡り歩き、1974年にアントニオ猪木、75年にはジャイアント馬場とともに満員の蔵前国技館で一騎打ち。歴史に残る名勝負となった。韓国に凱旋帰国した大木は、格闘技ファンだった朴正煕(パク・チョンヒ)大統領に目をかけられる。

 支援を受けて韓国プロレスの礎を築き、自らも「金一(キム・イル)」としてリングに上がった。日本時代の人脈で国際試合を仕掛けてヒーローになるが、プロレス人気の急落で生活は窮乏を極めて病気にも悩まされる。だが、晩年は韓国メディアで注目を集め、多くの人から援助の手が差し伸べられる。プロレスで熱くなった世代の記憶に残る大木。親しかったファン、プロレス関係者、韓国に暮らす親族の証言からはリング上の姿とはかけ離れた人物像が浮かび上がる。

 ■高月靖(たかつき・やすし) 1965年、兵庫県生まれ。ノンフィクション・ライター。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒。月刊「韓国文化」や書籍編集者を経験した後、独立。韓国文化や社会事象をテーマに精力的な取材を続けている。また、イラストやデザインも手がける。著書に『韓国芸能界裏物語』(文芸春秋)、『もう一歩奥へ こだわりのソウル・ガイド』『徹底比較 日本vs韓国』(河出書房新社)など多数。

 

注目情報(PR)

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

毎日25分からのオンライン英会話。スカイプを使った1対1のレッスンが月5980円です。《体験無料》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

ソナエ

自分らしく人生を仕上げる終活情報を提供。お墓のご相談には「産経ソナエ終活センター」が親身に対応します。