「アナ雪」では、パワフルで神秘的なヒロインの物語が少女たちを魅了しブームに繋がった、と同氏は見る。
さらにポップ・ミュージックは日本の女子の大きな関心事だ。ウォルト・ディズニー・ジャパン宣伝プロデューサーの廣村織香さんは、ウォールストリート・ジャーナル紙で「吹き替え版で、演じるだけでなく歌える松たか子と神田沙也加を起用。2人が物語に新たなディメンション(次元)を与えた」と解説している。
あの主題歌「Let It Go」を意訳すると「なるようになれ」。米ハリウッド・レポーター誌では、日本語版の「ありのままで」を逆に英訳すると「Just as it is」だが、「Let It Go」の歌詞を「ありのままで」とユルく訳したのが「例外的に功を奏した」と説明する。
日本の観客へのインタビューも紹介された。83歳の女性は「みんなが話題にしているし、新聞で誉めていたので見に行った」。映画は3年ぶりという男子学生は「恋人が見たがったので」。「子供を連れてきた」というパパの声も。
私が見たある日本のTV番組ではアラフォーの女性アナが「3回見た」と告白していた。2Dで見て3Dで見直し、英語版を見て、日本語版も見たくなった、という。リピーターが多いのも特徴だ。“女・子供”が好む優れた作品なら、年長者も男性も釣られて、というのが日本的ヒットの構図のようだ。
日本人の反応がここまで米メディアに掲載されるのはまれで、どれもポジティブな扱いなのがうれしい。熱いアナ雪現象が「日本の市場も忘れないで」とハリウッドに送ったメッセージはそれほど強烈、ということになる。 (板垣眞理子)