私が手掛けた本の多くはセクシーな写真集や、芸能界の裏ネタ本だが、このほど、『言えたらCOOL!チャイニーズスラング 中国俗語大辞典〈Vol・1〉』(展望社)というユニークな本をプロデュースした。著者は、ブロック幸子さん。米バークリーの大学在学中に中国に渡り、北京大に学んだ名古屋在住のバツイチ三十路女性である。
中国人が日常的に使う「俗語」を分かりやすく48のエピソードにまとめた言いたい放題の作品だ。「うせろ」「どアホ」「くそっ」など、教則本には絶対載っていない罵詈雑言を中国語に訳している。これが、先週の発売と同時に大反響をいただいている。
私の経営する小さな出版社がある東京・新橋は終電が過ぎると、いくら取り締まっても中国語の客引きが絶えない“無法地帯”と化す。「ここは本当に東京か?」と住んでいる私でさえ思う。
また、私が夜な夜な出没する上野駅近くの盛り場では中国系娘たちの色仕掛けによる昏睡強盗は後を絶たない。
そんなしつこい客引きには、本書の中国語スラングを応用して「ニンメイ(うせろ)」「シャビー(どアホ)」「ウォツァオ(くそっ)」とつぶやくと効果テキメンだ。
もちろん、中国人が経営する店にはマジメな店の方が多く、そんな中のひとつである新橋5丁目の上海料理「京華園」の社長には出版にあたり細かく言葉をチェックしていただいた。「高須さん、悪い中国人ばかりではないですよ」と、一部の狼藉者に社長は眉をひそめた。