中国人も大興奮 菊之助「春興鏡獅子」に拍手喝采

2015.04.08


京劇との共同公演を無事務め上げた尾上菊之助(中央、共同)【拡大】

 二十数年ぶりに、北京へ行った。何かとぎくしゃくしているお隣の国・中国だが、日中友好の橋渡しにと歌舞伎俳優、尾上菊之助(37)が、「日中友好京劇歌舞伎北京公演」で「春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)」に挑んだのだ。かの国の大気汚染を吹き飛ばすように、華やかにそして力強く舞い踊り、北京の人々に京劇同様の感動と素晴らしさを見せてくれた。

 祖父の尾上梅幸が歌舞伎使節団として、北京でやはり「春興鏡獅子」を披露したのが36年前。その時、見送りにいった2歳の菊之助は「一緒に行く」と泣いて後を追いかけんばかりだったと母の富司純子(69)が話してくれた。そんな孫が今では芸道に邁進(まいしん)し北京で歌舞伎の楽しさを伝えている。

 同行取材で分かったことは、現地は行ってみないと分からないことも多く、大変だったということだ。短い日程だったが市内観光もせず、舞台に集中する菊之助。その姿はまさに座頭の責任感。

 舞台は、京劇の名優梅蘭芳の名を冠にした大劇院で花道もない。それでも、長唄囃子連中の後ろのふすまが開き、獅子が棲むという清涼山の絵を背負う形で、獅子が登場する菊之助の演出に、満員の客席からはどよめきと拍手がわき起こった。

 若い観客のなかには、歌舞伎を初めてみる人も多かったようだ。かれんな腰元弥生でみせる女形、弥生が荒々しい獅子へと変わり、全身を使って獅子頭を振り回す毛振り。1回踊ると体重が大きく減少するともいわれる見せ場には、観客も魅了された。

 驚いたのは、菊之助の舞台姿を観客が携帯電話で写真をパシャパシャ撮っていたことか。係員がいくら注意しても、興奮した観客はお構いなしだった。

 それでも、鳴りやまぬ拍手とスタンディングオベーションには圧倒された。菊之助も、駆けつけて見つめる母の目にも涙が…。それを見ていて、祖父の尾上梅幸さんがうれしそうに笑う顔を私は思い出していた。

 あの興奮を受け止めながら、休む間もなく、11日から始まる金比羅歌舞伎へ。菊之助の挑戦は続く。

 ■武藤まき子 中国放送(広島)アナウンサーを経て、フジテレビ「おはよう!ナイスディ」のリポーターに。現在、フジの「情報プレゼンター とくダネ!」などの情報番組を中心に出演中。芸能、歌舞伎、皇室を主に担当する。著書にリポーター人生をつづったエッセー「つたえびと」(扶桑社刊)

 

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