■「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」 フジテレビ 18日午後9時スタート
映画「ビリギャル」など話題作に相次ぎ出演し、昨年末のNHK紅白歌合戦ではゲスト審査員も務めた。今、最も勢いのある若手女優の一人だが、意外にも民放地上波の連続ドラマでは初主演だという。
「憧れの『月9』をこんなに早く(主演)できるとは思っていなかったので、正直、びっくりしています。でも、『月9』ということはあまり意識し過ぎず、『良い作品にしたい』という思いを込めて日々、演じています」
物語は平成22年の秋から始まる。北海道で養父母に育てられ、自分の願望を押しとどめて生きてきた少女、音(おと=有村)は1通の手紙がきっかけで、練(れん=高良健吾)という青年と出会う。「2人は『胸キュン』が前面に出た関係ではないのですが、『ただ一緒にいるだけで幸せ』という関係を画面越しに伝えられたら」
脚本は、「最高の離婚」や「Woman」などを手掛けた坂元裕二氏。ラブストーリーであると同時に、若者の貧困など社会的テーマも今作には盛り込まれている。
地方から上京してきた若者たちの「群像劇」でもある。音と練を中心とした6人の若者の恋物語が、5年という時間の経過とともに描かれる。
自身も中学3年のときに女優を志し、上京した。「最初は本当に苦労しました。右も左も電車も分からないし、人は多いし…。同じ上京組として音ちゃんには共感しますし、当時のことを思いだすこともあります」
可憐(かれん)さや爽やかさが印象的だが、ストイックな一面も。趣味を尋ねたところ、「トレーニングです」と即答した。「体も心もスッキリするし、『しんどいときこそ行こう!』って。この前も撮影が深夜に終わったんですが、『ここで行かなかったらだめだ!』と思い、頑張って起きました」と笑顔を見せる。
「今作は、皆さんが期待するようなキラキラした『月9』とは正反対の作品になると思います。でも、音と練の2人をはじめ、登場する人たちは真っすぐで純粋で、がむしゃらで…。ぜひ、見ていただいて、『みんな幸せになってほしい』と、応援してくれるとうれしいです」
言葉の一つ一つを選ぶように、ゆっくりと話す。自身の考えをなるべく正直に伝えたいと努力する真摯な姿が、劇中の音と重なって見えた。(本間英士)
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<ありむら・かすみ>平成5年生まれ。兵庫県出身。22年のドラマ「ハガネの女」で連ドラ初出演。25年のNHK朝ドラ「あまちゃん」で注目を集める。映画「ビリギャル」やドラマ「海に降る」などに主演し、アニメ映画「思い出のマーニー」ではマーニー役の声を担当。3月公開予定の映画「僕だけがいない街」ではヒロイン役を演じる。