★Perfume「リニアモーターガール」(2005年)
アーティストの獲得にはいろんなケースがある。2004年の秋ごろ、大手芸能事務所のスタッフ3人が「何とかして売り出したいユニットがいる」と僕を訪ねてきた。それが「Perfume」だった。
彼女たちの音を聞くとボーカルはボコーダー処理されて、よく分からない。サウンドはテクノミュージック、売りはダンスという話だった。
70〜80年代、テクノグループのYMOが世界で話題になったが、今の若い世代には新鮮に映ったかもしれない。椎名林檎で味わった音楽的違和感と違い、絵画的、空間的違和感を覚えた。難しく言ってますが、いずれにしても、よく分からなかったということです。
僕は一言、「チーフがやるなら、やりましょう」で終わった。
後日、メンバーに会うと、3人とも瞳が輝いていた。自分の子供より若い高校生に何を話したらいいのか、少々戸惑ったことを覚えている。
インディーズで頑張っていたとも聞いていたから、安心して頑張ってほしいという思いを込めて、「3枚ぐらいは大丈夫だよ」といった。
後で知ったのだが、メンバー3人はこの言葉にいたく傷ついたそうだ。自分たちは夢の実現に向かって広島から上京して、日々努力しているのに、軽く対応された気持ちになったと…。今はすぐに結果を問われる時代だから、安心させるつもりで言ったのだがうまく伝わらなかったようだ。