1966年、日本武道館で行われたビートルズの伝説的な来日公演から50年。日本中が“生ビートルズ”に震えたあのとき、その舞台裏では何があったのか。4人と接した人々へのインタビューからひもといていくのが「ビートルズ来日学」(ディスクユニオン刊)。あのコンサートを実体験した人も、そうでない人も必読の書だ。
著者はビートルズ論で世界的にも評価される音楽評論家、宮永正隆氏。「レコード・コレクターズ」の人気連載が待望の書籍化だ。
ビートルズの4人が、ハンブルクから日航機に乗り込んだ瞬間から、彼らに接した日本人に、当時の様子や来日にまつわるドラマを聞き出していくインタビュー集となっている。本書で初めて明らかになった事実も多く含まれている。
4人が乗ったJALの客室乗務員、ライブを放送した日本テレビ局員、宿泊した東京ヒルトンホテル(現ザ・キャピトルホテル東急)従業員…。
よくここまでの顔ぶれにインタビューを敢行したものだと感心するが、4人が機内で頼んだドリンクから、ジョンとポールのホテルからの脱出方法、彼らが購入した日本のお土産まで、ファンならずとも興味深いエピソードにあふれている。
そして、そこから見えてくるのは、やはり4人の日本、日本人への関心の高さだろう。それは、その後、日本の芸術家であるオノ・ヨーコとジョンが結婚することを思えば、さもありなんなのである。
当時の週刊誌のカメラマンだった佐々木恵子氏による、貴重な写真が多数掲載されているのも大きな魅力だ。知っておきたい歴史がそこにある。