景気低迷により、増えつつあると言われる「家飲み」。お店などで飲む「外飲み」に比べ、お金がかからず、リラックスできるのが魅力だが、ちょっと気になるのは、外で飲むときよりも酔いやすい気がすること。
これってなぜ? 「かくれ躁うつ病が増えている」(共著)を著書に持つ、医療法人社団榎会・榎本クリニックの深間内(ふかまうち)文彦院長に聞いた。
「家飲みが酔いやすいと感じるのは、どこで飲むのがリラックスできるかという心理的な要因が大きいといえます。家で飲めば、終電を気にしたり、遅く帰って家族から怒られたりする心配もなく、緊張しないですむということもあるでしょう」
また、パートナーがいる人の場合、家で飲めば「愚痴を聞いてもらえる」「甘えられる」といった安心感もあるだろう。一人暮らしの人の場合は、誰に気兼ねすることなく楽しめるために、ついついピッチが進んでしまう場合もあるかもしれないと言う。
「家飲みの場合は、神経が弛緩(しかん)した状態で、眠くなったらすぐに寝られるというような環境であるために、酒がさらにまったりした状態を作りやすく、酔いやすいと感じるのでしょう」
結局、気分的な違いに起因するところが大きいのだろうか。
「外で誰かと飲んでいるときは、しゃべったり、相手の話に合わせたり、つまみを食べたりと、飲むペースは比較的抑えられていることもあるものです。でも、家で飲む場合にはリラックスしている分、ついつい飲み過ぎのリスクが高まるのでしょう。特に黙々と一人で飲み続けるような飲み方は、アルコール依存症に注意したいものです」
ちなみに、習慣的な飲酒(週3回以上、1日にビール大びん1本または日本酒1合相当以上)からアルコール依存症に至るスピードは、女性のほうが早く、男性が20年程度かけて依存症になることが多いのに対し、女性は数年(早ければ1年)で、酒びたりになってしまうリスクがあるそう。
それぞれの人にとって居心地の良い場所で飲むのが一番ではあるが、くれぐれも「楽しく健康的に飲む」ことを、お忘れなく。