歯科衛生士が主体となる新たな治療への取り組み 東京医科歯科大学歯学部附属病院

★東京医科歯科大学歯学部附属病院・歯科衛生保健部

2014.08.13


東京医科歯科大学歯学部附属病院【拡大】

 近年、歯の衛生管理は注目の的だ。厚労省などは、満80歳で20本以上の歯を残す「8020運動」を展開。いろいろな研究により、歯周病と心筋梗塞、糖尿病などとの関連も指摘されるようになった。

 健康な人が虫歯や歯周病の治療を受けるのは当然だが、脳梗塞で口をうまく動かせない、あるいは、抗がん剤治療で口の中の粘膜に炎症があるなど、病気で治療を受けている人たちの口腔(こうくう)ケアも重要度を増している。

 健康な人から病気の人まで、隣接する病院と連携しながら国内では珍しいトータル口腔ケアを実践しているのが、東京医科歯科大学歯学部附属病院歯科衛生保健部。1日平均約1900人の外来患者と、年間延べ約1万9000人の入院患者だけでなく、同大医学部附属病院で治療中の人への「周術期口腔機能管理」も行っている。

 「歯科衛生保健部は、歯科衛生士が主体となり、歯科医、医師、看護師と連携し、さまざまな取り組みを行っています。この体制は、東京医科歯科大学ならではです。技術の向上だけでなく、人材育成や連携しやすい環境作りなど、さらにより良い体制にしていきたいと思っています」

 こう話す足達淑子部長(50)は、2009年に歯科衛生室から歯科衛生保健部へと、新たな体制でスタートする以前から、歯科衛生士の役割について、ステップアップさせるべく奮闘してきた。

 単に歯科医の助手という立場から、歯科衛生士が主体となって口腔内の健康を守り、社会貢献できる道を模索している。結果として歯科衛生保健部は、32人のメンバーで、歯科と医科の患者をトータルでサポートするようになった。それには両病院のスタッフの理解が不可欠。

 「一般的には、口腔ケアの大切さはわかるけれども、人手が足りない、収益に結び付かないなどの理由から、病院内に歯科衛生士を常勤させてのトータルケアは難しい。東京医科歯科大学では、その現状を変え、周術期口腔機能管理などを普及させる役割も担っています」(足達部長)

 病気の人たちの口腔ケアは、それなりの経験と技術が不可欠。足達部長は、コンピューターシミュレーションを活用した歯科衛生士の教育システムの構築にも力を注ぐ。新たな教育システムは、歯科衛生士のモチベーションを上げ、社会での活躍の場を広げる後押しもする。

 「一般の開業歯科医さんも、近所の病院と連携し、患者さんの口腔ケアが行えるようにしたい。歯科衛生士も、在宅医療に携わるなど、活躍の場はたくさんあります。5年後には、口腔衛生と歯科衛生士の役割を大きく変えたいと思っています」と足達部長。

 長年の取り組みが今、大きく飛躍し始めている。 (安達純子)

<データ>2013年度実績(口腔ケア外来)
・外来患者数7999人
・新規外来患者数1240人
・医学部附属病院との連携件数253件
・病院病床数60床
〔住所〕〒113−8549 東京都文京区湯島1の5の45
(電)03・5803・4552

 

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