「便失禁」の新治療法 保険適用も 患者500万人 仙骨神経を刺激

2014.08.26


仙骨神経刺激療法で体内に埋め込む装置の本体【拡大】

 今年4月に便失禁の新しい治療法が保険適用になった。国内で便失禁に悩む患者は500万人と推定されているが、恥ずかしさなどから受診をしないでいる人が多い。しかし、治療の改善率は意外と高い。困っていたらきちんと受診しよう。

 【肛門の収縮力が低下】

 便失禁は便を漏らしてしまう、パンツを汚してしまう症状。実際、受診する患者の7−8割は女性が占めているが、疫学調査によれば発症率に男女差はないとされる。

 指扇病院(さいたま市)・排便機能センター長の味村俊樹副院長が説明する。

 「原因で最も多いのは、加齢で肛門を締める収縮力が弱まるケース。女性では出産時に肛門周囲の筋肉を損傷する場合も多い。それに痔(じ)や直腸がんの手術の後遺症。過敏性腸症候群などでも起こる場合があります」

 世代でみた有症率は20−65歳が4%、65歳以上で7・5%と、年を取るほど起こりやすい。

 【漏れ方や病態に違い】

 便失禁には、主に2つのタイプがある。便意を感じることなく、気づかないうちに便汁が漏れて下着を汚してしまう「漏出性便失禁」。便意を感じるが、トイレまで我慢できずに便が漏れてしまう「切迫性便失禁」だ。

 「肛門を締める括約筋は2重のリング状になっています。内側の内肛門括約筋は直腸の筋肉の一部で、ここに障害があると漏出性便失禁が起こりやすくなります。便失禁の半数は内肛門括約筋の障害が関係しています」

 外側の外肛門括約筋の障害は切迫性便失禁の要因になるが、すべてが内外の肛門括約筋の障害で起きているわけではない。

 「肛門括約筋に障害がなくても、直腸に知覚障害があれば漏出性便失禁に似た症状が出るし、過敏性症候群で腸の収縮力が肛門の締める力より強ければ切迫性便失禁を起こす場合があります」

 【治療成功率は80%】

 検査は、内外の肛門括約筋の締める圧力や直腸の知覚を調べる直腸肛門機能検査、構造上の問題がないか肛門超音波検査などが行われる。

 「治療には、生活・排便習慣指導、肛門括約筋収縮訓練、大腸内の便を洗い出す洗腸法、それに便を硬めにして排便回数を減らす薬物療法などがあります。薬での調整だけでも半数ぐらいの人は十分改善します」

 括約筋の断裂があれば手術で縫う選択肢もあるが、必ずしも治るとはいえず、逆に悪くなる場合もある。保存的治療で改善が不十分だったり、受けたい治療法がない約3割の患者が、今回、保険適用になった「仙骨神経刺激療法」という新しい治療法の対象になる。

 「この治療法は、細いリードの付いたバッテリー内蔵の刺激装置を体内に埋め込んで、仙骨神経を電極で持続的に刺激する方法です。便失禁の頻度が半分以下に減る治療成功率は約80%とされるので、難治だった人には期待が持てます」

■主な治療法の選択肢
 【保存的治療】
 生活・排便習慣指導
 薬物療法 肛門括約筋収縮訓練
 洗腸法
 【外科的治療】
 肛門括約筋形成術
 仙骨神経刺激療法

 

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