【最新「死に方」事典】血圧の目安 高血圧は「90+年齢」以上

2014.10.05


血圧を測っても一喜一憂はしないほうがいい!?【拡大】

 「高血圧は万病のもと! 場合によって死に直結します」などと、多くの医者が口にする。そして、血圧が高いと判定されると、「降圧剤を出しますので、それで様子を見ましょう」などと言う。

 ところが、この4月に公表された「健康・新基準」(日本人間ドック学会と健康保険組合連合会が発表)で、高血圧の基準値が緩和されたため、医療現場で混乱が起きている。

 なぜなら、これまでは「上(収縮期血圧)」が140以上、「下(拡張期血圧)」が90以上で高血圧と診断されたのに、新基準では上は147まで、下は94までが正常値とされたからだ。

 そこで今回は、高血圧は「よほどのことがない限り気にする必要はない」という話をしたい。

 現在、70歳以上の方の降圧剤服用率はなんと45%にも達しているという。また、日本における降圧剤の年間消費額はなんと1兆円に達するとされている。

 厚生労働省によると、高血圧症の患者数は2011年に906万7000人に達している。医者にとっても製薬会社にとっても、降圧剤はドル箱なのである。まず、このことを頭に置いて、ご自身の血圧の数値を確認する必要がある。

 私が医学の道に入ってからすでに40年以上たつが、この間に高血圧の数値は何度か変わった。高血圧は数値で判定するから、この判定基準が変われば、正常が異常になってしまう(その逆もある)。つまり、これまでの日本は、数値を厳しくすることで、わざと患者をつくってきたのである。

 1960年代の後半、日本中の医学部でもっとも広く使われていた教科書の1つが『内科診断学』である。私もこの本で勉強した。

 この本では、「健常者の血圧」として「日本人の年齢別平均血圧」が示されていた。年齢別平均血圧に近い数字の算出法は「最高血圧=年齢数+90mmHg」とされ、「年齢数に90を加えた数字よりも低ければ血圧は正常」という診断法が当時の主流だった。つまり、60歳なら「90+60=150」で、150以下なら正常とされたのだ。

 ところが、1970年代に入ると、世界保健機関(WHO)が、上を160以上、下を95以上と規定したので、日本でも160/95以上を高血圧とするようになった。その後長い間この数値が使われたが、1993年にWHOと国際高血圧学会(ISH)が正常値の範囲を「上が140未満、下が90未満」と変えたので、日本でもこれが使われて今日まで続いてきたのである。

 しかし、WHOの指針では、140/90は「境界域高血圧」で、「毎日の生活に気をつけましょう」という程度の話。高血圧とは規定していなかった。それなのに、日本では140/90を高血圧としてしまったのである。したがって、今回の新基準は、昔に返っただけとも言えるのだ。

 そこで、結論だが、血圧というものは年を取るとともに上がるのが自然なものだ。これが世界の常識で、全年代に共通する正常値などありえない。また、年齢別血圧と死亡率に相関関係はない。よく「血圧が高いと死亡率が高まる」と言うが、これは、年齢が上がれば死ぬ人が増えるという事実を無視している。さらに、降圧剤を服用すれば血圧は下がるが、服用で長生きできるかどうかはデータがない。逆に、高血圧群の患者さんの死亡率が上がったのは、血圧を下げすぎた結果という追跡データもあるくらいだ。

 そこで、昔のように「90+年齢」を、ご自身の血圧の目安とすることをお勧めしたい。

 ■富家孝(ふけたかし) 医師・ジャーナリスト。1947年大阪生まれ。1972年慈恵医大卒。著書「医者しか知らない危険な話」(文芸春秋)ほか60冊以上。

 

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