東京慈恵会医科大学附属病院・皮膚科 乾癬患者のQOL改善へ

★東京慈恵会医科大学附属病院・皮膚科

2014.10.29


東京慈恵会医科大学附属病院【拡大】

 働き盛りを襲う皮膚疾患のひとつ「乾癬(かんせん)」は、免疫異常が関与し、表皮が異常に増殖して炎症を引き起こす。しかし、名称から感染症と間違われやすく、しかも、炎症部分の表皮がフケのようにはがれ落ちるため、患者のQOL(生活の質)を著しく低下させる。

 従来、外用剤、光線療法や内服療法などの治療は行われているが、炎症が広範囲に渡ると改善が難しい。また、乾癬にはいくつかの種類があり、関節炎を伴うと、さらに治療は困難となっていた。この状況を一変させたのが、2010年に保険適用となった「レミケード」や「ヒュミラ」(いずれも製品名)の登場だ。

 免疫細胞から放出され、炎症を引き起こすサイトカインという物質をターゲットにした「抗体製剤」で、今年は「ステラーラ」(同)も加わり、治療のバリエーションが増えた。そんな乾癬の治療と研究で、国内トップの実力を持つのが東京慈恵会医科大学附属病院皮膚科。アトピー性皮膚炎や悪性黒色腫など幅広い皮膚疾患に対応し、難治性皮膚疾患の治療開発も行う。

 「乾癬はその症状のため、仕事をやめざるをえない人もいるなど、患者さんにとっては深刻な病気です。抗体製剤は効果が早く出やすく、関節炎にも効果があります。ただし、適応はきちんと見極めないとなりません。当科ではさまざまな検査を駆使し、副作用を起こさないように、患者さんの症状に合わせたテーラーメード医療を提供しています」

 こう話す中川秀己教授(61)は、乾癬治療のスペシャリスト。長年、治療法の開発に力を注ぎ、一般的に認知度の低い病気であるがために悩む、患者の会もサポートしてきた。

 「乾癬の症状は、ストレスや暴飲暴食など、生活習慣の乱れで生じやすくなります。効果の高い薬で症状を改善できれば、患者さんの生活習慣の見直しも後押しできます。結果として、糖尿病などの別の生活習慣病も改善できるのです。治療の効果を見ながら生活指導にも力を入れています」

 中川教授は、さらに効果的な治療法開発のため、新しい抗体製剤の臨床研究も行う。「レミケード」や「ヒュミラ」は、サイトカインの「TNFα」をターゲットにし、「ステラーラ」は、サイトカインの「インターロイキン12」と「インターロイキン23」にアプローチするが、新たに「インターロイキン17」を抑える薬が、来年か再来年には登場する予定だ。欧米は日本よりも乾癬の患者数がはるかに多いだけに、新薬の開発にも積極的。最先端の治療を中川教授は研究し、臨床応用へ向けて尽力している。

 「抗体製剤は効きが良いのですが、高額医療になるのが欠点です。ただし、定期的な検査を徹底的に行うため、早期の肺がんが見つかるなど、別の病気の早期発見にも寄与しています。乾癬はまだ根本的に治すことができませんが、生活習慣病のように、適切なコントロールで良い状態が維持できるように、今後も取り組んでいきたいと思っています」と中川教授。

 症状を封じ込めるべく奮闘中だ。 (安達純子) 

 〈データ〉2013年実績
・外来患者数約4万8000人
・抗体製剤治療患者数400人以上
・病院病床数1075床
〔住所〕〒105−8471 東京都港区西新橋3の19の18 (電)03・3433・1111

 

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