杏林大学医学部付属病院 前立腺がん再発転移阻止 CTC解析研究で挑む

★杏林大学医学部付属病院・泌尿器科

2015.06.17


杏林大学医学部付属病院【拡大】

 加齢とともに生じやすい前立腺がん治療には、身体に負担の少ないロボット手術をはじめ、放射線療法や化学療法、さらには、がんに影響を与える男性ホルモンを抑えるホルモン療法など、さまざまな選択肢がある。

 ただし、初期段階治療で治ったかに見える前立腺がんの中には、再び増殖し、骨や肺、肝臓などに転移してしまうケースも。このように血流に乗って遠い臓器に転移する前立腺がんの仕組みについて、近年、「血中循環癌細胞(CTC)」の数や遺伝子解析により、実態が明らかにされつつある。CTCや遺伝子解析の違いによって、予後が変わるだけでなく、化学療法やホルモン療法の薬の効果もわかるようになってきた。

 そんな最先端の研究を行っているのが、杏林大学医学部付属病院泌尿器科だ。同科の桶川隆嗣教授(54)が、京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区の共同研究に取り組んでいる。

 「検査医療機器の進歩で、血流に乗って流れる前立腺がんのCTCだけでなく、がん細胞の集合体(クラスター)も肉眼で捉えられるようになっています。その仕組みと遺伝子解析を行いつつ、臨床現場での治療効果の判定などの研究を進めています。近い将来、患者さん一人ひとりに合わせた治療法の選択が、これまで以上に行いやすくなると思っています」

 こう話す桶川教授は、腹腔鏡下手術やロボット手術を得意とするだけでなく、放射線科とタッグを組み、放射性物質を留置してがんだけを抑制する小線源療法など、チーム医療で患者に合わせた治療を提供している。前立腺がんの新薬にも造詣が深い。

 しかし、一般的に最新の治療法を駆使しても、前立腺がんの再発転移を防ぐことは、難しいのが現状だ。それを打開すべく、米国の食品医薬品局(FDA)ですでに承認されているCTC解析について研究を進め、現在、世界初となるような課題に挑んでいる。

 「臨床医学だけでなく、基礎医学や工学などの人々とチームワークで研究を進めることで、前立腺がんにはたくさんの種類があり、治療で性質が変わることもわかりました。CTCやその遺伝子によって、治療をどのように替えれば有効なのか。それを明らかにすることを目指しています」(桶川教授)

 従来の医療では、標準治療で定められた薬を出し、それが効かなければ別の薬といったパターンがあった。先の研究成果により、最初からその人のがんに合わせた薬を選択することが可能になる。

 「患者さんに対して、『あなたのがんを診ています』という気持ちを大切にしています。一人ひとり異なるがんを明確にすることで、それをさらに進めたいと思っています」と桶川教授は話す。真の意味での個別化治療の実現に向けた取り組みは、今も続いている。 (安達純子)

 〈データ〉2014年度実績
・泌尿器科手術総数1027例
・ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術108例
・前立腺がん以外のがんに対する腹腔鏡下手術91例
・病院病床数1153床
〔住所〕〒181−8611 東京都三鷹市新川6の20の2 (電)0422・47・5511

 

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