カロリー制限で悪化!? アルツハイマー病治療「新事実」   

2015.08.09


ベータアミロイドをたくさん取り込んだ神経細胞(左)と処理できずに膨らんで破裂した神経細胞【拡大】

 アルツハイマー病の人はカロリー制限をすると症状が進行する−。そんな可能性を示唆する研究報告が、先頃、東京医科歯科大学脳統合機能センター長の岡澤均教授らによって発表された。従来はカロリー制限をした方が、進行を遅らせるのではないかと考えられていたが覆したのだ。この研究の先に垣間見えたのは、若い頃からの生活習慣の改善である。

 【お掃除システムが役に立たない】

 アルツハイマー病では、神経細胞の中や外に異常タンパク質のベータアミロイドがたまり、神経細胞の変性や消失、老人斑の出現などが起こる。岡澤教授らは、ベータアミロイドを神経細胞内で処理する「誘導性オートファジー」の存在をまず明らかにした。いわゆる「お掃除システム」だ。

 「誘導性オートファジーは、細胞が飢餓状態になると盛んになり、脳に不要なベータアミロイドも取り除いてくれると考えられていました。この機能を生かすために、アルツハイマー病の人にカロリー制限すれば、アルツハイマー病を良くできるとの考え方があったのです」

 こう話す岡澤教授は、その実態を確認すべく、脳の神経細胞で何が起こるのかを調べた。すると、カロリー制限によって誘導性オートファジーが盛んになり、細胞外からベータアミロイドを細胞に取り込むまでは仮説通り。ところが観察を続けていると、ベータアミロイドをたくさん取り込んだ神経細胞は、それを処理できずに膨らんで破裂してベータアミロイドをまき散らし、死んでしまった。

 「アルツハイマー病の脳の神経細胞では、誘導性オートファジーは盛んになるが、その機能が不完全なため、極端なカロリー制限は逆効果になる可能性があるのです」(岡澤教授)

 【極端な体重増減、身体負荷は避ける】

 アルツハイマー病になってからのカロリー制限は、症状を進行させる恐れがある。では、病気になる前のダイエットはどうなのだろうか。

 「アルツハイマー病は、生活習慣病とも関連しており、30代以降の急激な体重の増加などはリスクを高める可能性はあります。そのメカニズムは十分にはわかっていません。今いえることは、極端な身体への負荷はよくないということです。若い頃から『腹八分目』を心掛け、健康を維持することが大切だと思います」

 岡澤教授らは、アルツハイマー病の発症前の早い段階から、神経細胞のシナプス(神経細胞同士をつなぐ構造)に異常が現れることをすでに突き止めている。長年の生活習慣の乱れは、シナプス異常につながる。その仕組みについて現在解明中だ。

 「アルツハイマー病にはいろいろな段階があります。細胞の遺伝子がいくつも変化し、それが積み重なり、長い年月をかけて病気へと移行するのです。その引き金はいずれ明らかにできるでしょう」と岡澤教授は話す。脳の神経細胞を守る食生活が、科学的に解明される日が近い将来くるかもしれない。 (安達純子)

 

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