「くいしばり」を自分で感じられたことはありますか。ほとんどの方が「多分していない」とお答えになるでしょう。
しかし、これはとても多く見られる癖の一種で、お仕事など何かに集中しているときに、気がつくと奥歯を強くかみしめていませんか。このように、上下の歯を合わせ強くかみしめることを、くいしばりといいます。
本来、上下の歯と歯が接するのは食事の時のみとされ、それ以外の時は上下の歯の間には常に2〜3ミリ程度の隙間(安静空隙)があります。くいしばりは、ストレスや緊張などで交感神経の緊張が起こり、筋肉がこわばるので無意識のうちに起こることが多いといわれています。
くいしばりが長時間続いたり、繰り返し起こると、歯の根元が削れたり亀裂が入ります。また、歯がしみる、痛いといった症状が見られたり、詰めものやかぶせもの、歯が割れてしまうこともあります。
歯を支える歯周組織にもダメージを与え、歯周病が進行しやすくなります。さらには全身の健康や美容にまで影響が及ぶこともあります。あごの筋肉への過度な負担で、肩こり、頭痛や耳鳴り、顎(がく)関節症を発症したり、筋肉の張りからお顔が大きく見えたり、歯が削れてかみ合わせが悪くなることでほうれい線が深くなります。
予防には、ストレス緩和のリラックスした時間を作ること、枕は低いものを使用、なるべくあおむけで寝る、自分で歯と歯を合わせないよう意識するなどがあります。