「結論から言うとまだ治っていません。鬱(うつ)病ではなく双極性II型障害(II型障害)です」。1年前に診断された鬱症状の完治を確認するつもりで受けた光トポグラフィー検査で思いがけない結果が出た。新宿メンタルクリニック(東京都新宿区西新宿)の川口佑院長は「そもそも1週間で良くなる鬱病なんてありません」と指摘した。II型障害は現代型鬱病、逃避型鬱病と呼ばれているものとほぼ同じもので「会社には来られないけれど家では元気」というものだ。
軽い躁状態と鬱状態の波があるII型障害が鬱病と診断されるケースは非常に多いという。「多くの患者が調子の悪い(鬱状態の)ときだけ受診するので、症状を聞いていけば鬱病と判断されてしまう」と川口院長。軽い躁状態のときには病気の自覚がないため通院することはめったにない。客観的データとして問診を補強する検査の果たす役割は大きい。
「あ」で始まる言葉を考えたときの前頭葉前部の血流量を表すグラフを見ながら川口院長が解説する。脳が活発になり消費した酸素を補うため、新たな血液が送り込まれてくる。検査でかぶったヘッドギアでその血液量を測定しグラフ化していく。「課題をやっているときに脳のモードが切り替わっていることをイメージしてほしい」と話し、記者の脳が描いた曲線を指し示した。