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【当てちゃる券】ヘルメットがない~現役時代によく見ていた夢

 先日、現役時代によく見ていた夢を見た。それはどんな夢かというと、出走直前なのになぜか自分のヘルメットがないのである。それだけではない。私を置いてみんなさっさとバンクへ出ていくのである。

 「おい、みんなちょっと待ってくれや~。オレを置いていかんでくれ~」

 しかし、私の声が聞こえないかのように無視され、レースが始まってしまうのだ。私は仲のいいOBや後輩たちに同じような夢を見たことがあるのか聞いてみた。

 そしたら出てくる出てくる。シューズのひもがうまく結べなくて取り残された。自転車がなくなって途方に暮れた。前検日を間違って「とっとと帰れ」と追い出された…などなど。

 共通点は自分だけ蚊帳の外にされること。なぜこんな夢を見てしまうのか? みんな追われているんだと思う。稼ぎに直結する選手のランクはすべて競走得点で決められる。オフシーズンがない競輪選手は年がら年中テストを受けてるようなもの。寝てるときでさえこんなヘンテコな夢を見るんだから、引退するまで気の休まる瞬間なんてないんだと思う。でもね、がのさん(菅野浩司=48期・引退)だけは今も昔も悩みがなさそうだから、絶対に見たことはないと思うな(笑)。

(元競輪選手)

《2016年4月26日発行、夕刊フジから》

■内田浩司(うちだ・こうじ) 1962年8月26日生まれ。福岡県出身。83年4月に51期生としてデビューし、S級上位で活躍。通算435勝、優勝34回(記念Vは92年門司記念など6回)。FI先行・吉岡稔真(としまさ)元選手の兄弟子で連携は多数。実直な性格と厳しい指導から“鬼軍曹”として恐れられていた。