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【当てちゃる券】心根は優しい…岡山の選手

 <<2016年11月19日発行、夕刊フジから>>

 岡山駅から宇野線に乗り換えて小一時間、終点宇野駅からすぐの所に玉野競輪場がある。目の前には穏やかな瀬戸内海が広がる、のどかな競輪場だ。

 私がデビューしたころは、まだ瀬戸大橋は開通しておらず高松まで宇高連絡船が運行していた。最終レースのあとは渋滞するからと、先輩の船で宇野駅まで送ってもらったこともある。

 しかし、こんなのんびりムードとは裏腹に岡山の選手は怖い人が多かったな。強烈マーカーの国松利全さん、九州よりフラワーラインと連携することが多かった西谷康彦さん、ロッキーの宿敵アポロにそっくりな近藤博信さん、元プロボクサーの勝負師・斉藤利治、唇に塩を塗りたくって走った本田晴美など個性派ばかり。

 子供のころ、人は見た目で判断してはいけないと教わったが…。パンチパーマに極太ゴールドのネックレスとブレスレット、ダブルのスーツに取っ手の付いたセカンドポーチ。これだけでもとても堅気にはみえないが、会話がまた怖い。

 「わしゃ今日は遠慮せんとズブッと差したけぇ~の」

 「久しぶりのシャバはえぇのぅ、ビールがでぇれぇ~うめぇわ」

 「アタマとりそこねたわ、今度おうたら許さんでぇ」

 一度、新幹線の食堂車で岡山勢と合流したことがあったが、われわれの反省会に聞き耳を立てていた周りの客の会話が小声になったのがおかしかった。一応フォローするが、心根は優しい方ばかりである(笑)。

(元競輪選手)

 国松利全(岡山39期・引退)

 西谷康彦(岡山40期・引退)

 近藤博信(岡山41期・引退)

 斉藤利治(岡山55期・引退)

 本田晴美(岡山51期・引退)

 「差したけぇ~」

 (決勝線で後方から先行している選手を追い抜いて勝った)

 「アタマとりそこねた~」(1着をとりそこねた)

 ■内田浩司(うちだ・こうじ)1962年8月26日生まれ。福岡県出身。83年4月に51期生としてデビューし、S級上位で活躍。2015年10月29日に引退。通算435勝、優勝34回(記念Vは92年門司記念など6回)。FI先行・吉岡稔真(としまさ=福岡県65期)元選手の兄弟子で連携は多数。実直な性格と厳しい指導から“鬼軍曹”として恐れられていた。夕刊フジ競輪面にコラム『当てちゃる券』を連載中。

 ※原則として新聞掲載時のまま再録していますが、一部加筆・修正を行っています。