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【当てちゃる券】波瀾万丈豚骨ラーメン一代記(中)

≪2017年2月24日発行、夕刊フジから≫

 「昔っからラーメンが大好きやったけよ。引退したら単純にラーメン屋をやりたかっただけっちゃね」

 進む道を決めた金田和浩先輩(福岡55期、引退)は、さっそく各地の人気店、有名店を片っ端から食べ歩き、教えを請うた。しかし、どの店でも門前払いされたそうだ。

 そりゃそうだろう。向こうだって何処の豚の骨、いや馬の骨か分からない奴に店の秘伝を簡単に教えられるわけがない。先輩もいきなり行って教えてくれってのも行動力ありすぎだし(笑)。

 「頭にきてのぅ。こうなったらよ、自分でやるしかなかろうもん」

 持ち前の負けん気とともに自慢の“鎌首”をムクムクともたげ、ラーメンの「イロハのイ」から独学で勉強したそうだ。

 しかしだ、過去に小倉の人気店でちゃんと修行してラーメン屋を開業しても、ほんの数年で廃業したOBが何人かいた。つまり新規参入しても人気店に太刀打ちするのは容易なことではない。先輩は香川県坂出市にあるラーメン大学(たぶん製麺所のラーメン教室)で6日間習ったが、なんの役にも立たなかったと言っていた。当たり前のことしか教えないのだろう。

 現役時代は努力家というよりも練習嫌い。気持ちと才能で走ってる印象があった先輩だったが、自分だけのラーメンを探し求めて寸暇を惜しんで研究し、濃密な時間を過ごしたに違いない。

 09年3月、ついに納得できるスープが完成し、満を持して「金田家」をオープンした。明日へ続く。(元競輪選手)

 ■内田浩司(うちだ・こうじ) 1962年8月26日生まれ。福岡県出身。83年4月に51期生としてデビューし、S級上位で活躍。2015年10月29日に引退。通算435勝、優勝34回(記念Vは92年門司記念など6回)。FI先行・吉岡稔真(としまさ=福岡県65期)元選手の兄弟子で連携は多数。実直な性格と厳しい指導から“鬼軍曹”として恐れられていた。夕刊フジ競輪面にコラム『当てちゃる券』を連載中。

※原則として新聞掲載時のまま再録していますが、一部加筆・修正を行っています。