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【当てちゃる券】記念競輪優勝はすべての選手の夢

<<2017年8月04日発行、夕刊フジから>>

 年に2回も記念競輪をやるの? 疑問に思った私は、川崎競輪場に電話をかけた。

 「4月に初のナイター記念競輪をやって、今回はその流れの試行開催です。GIIIですが、記念の位置づけでありません」との答え。でも、優勝したら、きっと記念を獲った気持ちになるはずだ。

 記念競輪を優勝するのはすべての選手の夢だが、大半の選手はかなわぬ夢のまま引退する。1本でも優勝したら選手間で羨望のまなざしで見られ、また2本以上獲ればまわりからホンモノの全国区と認められた。そうやって記念優勝者は胸に勲章をつけていく。

 がのさん(菅野浩司=神奈川・48期引退)は「記念競輪は勝ったことのない選手が勝つのは難しい。いつも獲っている選手が獲るものだ」と予想の中でいっているが、そのとおり。獲ったことがない人はなかなか勝てないのだ。

 逆にすごい話だが、当時の“3強”中野浩一さん、井上茂徳さん、滝澤正光さんらは、ひとりで100本以上優勝しているはず。記念競輪は勝って当たり前、照準はタイトル戦だったんだろうな。

 また、地元記念はいつも以上に燃えるもの。地元の看板を背負った選手は自分の庭でファンにいいところを見せたいのだ。私は50歳を過ぎたころ、若手に「内田さんて、記念獲ったことあるんスかぁ~?」と聞かれた。胸につけてる勲章は、やっぱり他人には見えなかったな(笑)。(元競輪選手)

 ■内田浩司(うちだ・こうじ)1962年8月26日生まれ。福岡県出身。83年4月に51期生としてデビューし、S級上位で活躍。2015年10月29日に引退。通算435勝、優勝34回(記念Vは92年門司記念など6回)。FI先行・吉岡稔真(としまさ=福岡県65期)元選手の兄弟子で連携は多数。実直な性格と厳しい指導から“鬼軍曹”として恐れられていた。夕刊フジ競輪面にコラム『当てちゃる券』を連載中。競輪祭では特別コラム『小倉競輪祭 なう&リメンバー』を執筆。

※原則として新聞掲載時のまま再録していますが、一部加筆・修正を行っています。