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【当てちゃる券】「あぁ思い出の山陰路」静岡ナイター最終日11R 松本の男気先行でハルトモ(渡辺)の応援車券

 新型コロナウイルスのおかげで出歩くのをしばらく控えていた。くすぶりすぎてカビが生えそうなので車で遠出をしたのは、久しぶりに行きたい場所があったからだ。

 関門トンネルを抜けると山口県下関市。左にハンドルを切り、少し進むと日本海に出た。

 「何年ぶりだろう? この風に当たるのは…」

 窓を開け懐かしい潮の香りを吸い込みながら穏やかな水平線を見ると春までもう少しだと感じた。黄色のガードレールも懐かしい。どんな田舎道でもキッチリ整備されているのは、吉田松陰のまな弟子、伊藤博文を筆頭に8人の総理大臣を輩出した山口県だからこそだろう。ちなみに禁断のフグ食を解禁したのも伊藤翁だった。

 山陰路を1時間ほど北上すると高級車のCMでも使われた角島(つのしま)大橋に着いた。島へ渡る大橋が開通する前は交通量も少なくて、練習帰りによく潜って貝や魚を獲り、晩酌のアテを持って帰ったものだ。

 その日は海には入らずイカの一夜干しを買った。途中、放浪の俳人・種田山頭火が愛した下関の奥座敷、川棚温泉で風呂に入り、焼いた瓦に茶そばと具をのせる名物“瓦そば”を食べて帰路についた。

 昔はいつ練習に来ても小倉や山口の競輪選手とすれ違ったが誰にも会わなかった。かろうじて今でもこの辺りで練習をしているのは弟弟子の森山昌昭(福岡)だけみたいだ。新人の頃は練習コースを探して知らない山道を山頭火のように分け入ったもんだが、近頃はトレーニングもウイルスもハイブリッド化してしまい情緒が無くなったなぁ。この日はまるでタイムマシンに乗ったような1日だった。

 静岡ナイター最終日S級決勝(11R)は平成の名マーカー・渡辺晴智が松本貴治を使い地元優勝を狙う。松本の男気先行でハルトモの応援車券は十分成立すると見た。〔1〕⇔〔2〕-〔5〕〔6〕〔9〕。(元競輪選手)

 ■内田浩司(うちだ・こうじ)1962年8月26日生まれ。福岡県出身。83年4月に51期生としてデビューし、S級上位で活躍。2015年10月29日に引退。通算435勝、優勝34回(記念Vは92年門司記念など6回)。FI先行・吉岡稔真(としまさ=福岡県65期)元選手の兄弟子で連携は多数。実直な性格と厳しい指導から“鬼軍曹”として恐れられていた。夕刊フジ競輪面にコラム『当てちゃる券』を連載中。競輪祭では特別コラム『小倉競輪祭 なう&リメンバー』を執筆。