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【当てちゃる券】男らしいレースとは 佐世保ナイター最終日12R逃げる林の番手・田中 〔7〕⇔〔1〕-〔2〕〔3〕〔4〕〔8〕

 「男らしいレースをする選手が減ったな。お前はソコソコやったけど、昔はえぇ選手がようけおった」

 ひとこと余計なオールドファンはオレにこう言うのだ。彼は自分が熱狂した時代から時計が止まっている。

 しかし、男らしいレースって一体どんなレースなのか?

 ルール改正や選手気質の変化もあり“競輪”は片仮名の“ケイリン”へと変化したが、ファンの心を熱くさせるレースって、今も昔も変わらないんじゃないか。

 ラインのために徹底的に逃げて時代を作った先行選手は今も昔も絶大な人気がある。

 古くは高原永伍さん、滝澤正光さん、そして吉岡稔真、今は脇本雄太か。風圧を受けてひたすら逃げる姿は日本人の琴線に触れた。武士は仕えた主君のために命を投げ出して戦う。葉隠は「武士道といふは死ぬことと見付けたり」という。おそらくは彼らの逃げに輪友も己の人生を重ね合わせたことがあったはずだ。

 また失格上等と身体を張ってまくりを止めるマーク屋も同じくらい男前だ。とことん自分のウマを守り抜く選手って、今思い浮かぶのは小倉竜二だけかな。

 選手目線からだと「○○のハコ」とだけ言って勝負にいくマーク屋やレース後は一言も言い訳をしない選手は男らしいといわれる。

 ただ、オレはどんな展開になろうとも、ひとつでも上の着を取るためにあらゆる手段を尽くすことがファンに対する責任だと思う。自分のスタイルを免罪符にしたら、それは言い訳になるからだ。

 佐世保ナイター最終日S級決勝(12R)は林が男らしさを取り戻してきた。同県の先輩3人を連れて逃げるのみ。古性は自在・畑段任せ。坂井は後方からの仕掛けになる。番手・田中から〔7〕⇔〔1〕-〔2〕〔3〕〔4〕〔8〕。

(元競輪選手)

■内田浩司(うちだ・こうじ) 1962年8月26日生まれ。福岡県出身。83年4月に51期生としてデビューし、S級上位で活躍。2015年10月29日に引退。通算435勝、優勝34回(記念Vは92年門司記念など6回)。FI先行・吉岡稔真(としまさ=福岡県65期)元選手の兄弟子で連携は多数。実直な性格と厳しい指導から“鬼軍曹”として恐れられていた。夕刊フジ競輪面にコラム『当てちゃる券』を連載中。競輪祭では特別コラム『小倉競輪祭 なう&リメンバー』を執筆。