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【当てちゃる券】昭和から平成をモガき切った2人の予想屋さん

 フェンスの内側と外側、選手と予想屋は同じ競輪に携わる仕事だけれど、基本的に交わることはない。まだ年号がギリギリ昭和の頃、S級1班に昇級した途端、地元待望の先行選手として小倉の準記念(現S級シリーズ)をよく走った。

 その頃から朝の指定練習を終えて敢闘門に戻ってくると、上から一声かけてくる男性がいた。予想屋の佐々木さんだった。

 「コージ強くなれよ!」とハッパをかけてくれたり「パチンコ行かんで練習せい」と注意されたり(笑)、今回はなんと言われるのかと楽しみにしていた。

 5年前引退したあと、初めてナイター競輪を観にいった。ホームスタンド側の穴場の前で佐々木さんが仕事をしていた。

 オレが挨拶すると「長いことよう頑張ったのぅ」とねぎらってくれた。

 その後もよくナイターにいったが佐々木さんはいつも同じ場所にいた。

 ところが去年の競輪祭で見かけなかったので気になっていた。先週の志らべ師匠のコラムで神奈川の予想屋・青木利光さんの訃報を伝えていた。

 実は少し前に、夕刊フジの松垣記者から頂いた「親子二代予想屋」という青木さん親子を描いた本を頂き、読み始めたばかりだった。偶然なのか青木さんとオレはデビューが同じ昭和58年だった。

 小倉の予想屋・佐々木さんのことを関係者に尋ねてみると一昨年に他界されていた。

 昭和から平成をモガき切った2人の予想屋のことをオレはしばらく考えていた。

 久留米ナイター最終日ガールズ決勝8Rは大久保と尾方の地元両者の勝負だが勢いで尾方の頭〔3〕-〔1〕-〔4〕〔5〕。

 A級決勝9Rは引いても5番手のある嘉永がS級特進を決める〔5〕-〔3〕-〔1〕〔6〕〔7〕。(元競輪選手)

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『親子二代予想屋 「競輪」70年史』松垣透著

彩流社・2500円+税

■内田浩司(うちだ・こうじ) 1962年8月26日生まれ。福岡県出身。83年4月に51期生としてデビューし、S級上位で活躍。2015年10月29日に引退。通算435勝、優勝34回(記念Vは92年門司記念など6回)。FI先行・吉岡稔真(としまさ=福岡・65期)元選手の兄弟子で連携は多数。実直な性格と厳しい指導から“鬼軍曹”として恐れられていた。夕刊フジ競輪面にコラム『当てちゃる券』を連載中。競輪祭では特別コラム『小倉競輪祭 なう&リメンバー』を執筆。