記事詳細

【当てちゃる券】現役時代、一度だけ台風順延の経験その時の選手は

 台風には馴れっこの九州人でも、毎週デカいのに来られたら、たまったもんじゃない。

 現役時代、実は1度だけ、開催が台風で順延になった経験がある。そうなると選手という生き物は気持ちの切り替えが上手だ。1日は気分転換と疲労回復に専念する。

 朝っぱらから風呂につかり、ストレッチで体をほぐすと昼食までの時間、巣箱(ベッド)の中で睡眠や読書などで過ごす。

 午後からはローラー台でフォームチェックをしながら、入念にモガキを入れて、じっくりと汗を流す。そのあと愛車の整備をやり、セッティングを確認する。

 リフレッシュができるのはいいことだけど、帰りの飛行機の格安チケットはパアになった。

 その反対に開催が決定になると大変だ。

 「マジでこの中を走るの…?」

 みんな1レースが始まると固唾をのんで見ている。無事に敢闘門に戻ってきた選手は勝ち負けより、走り終えた解放感でみんなハイテンションだ。

 レース中には予測不可能な突風がバンクに何度も吹く。台風のなかでの競走などほとんどの選手が初体験。

 ところが意外と落車は起きない。なぜか?

 プロは強風と雨の中でも転ばないように走れるスキルとメンタルをみせる。これこそ常日頃の修練のたまもの。プロはなんだかんだ言ってもすごいのだ。

 ある日、小倉のナイターで台風がドームの真上を通過する中、何事もなく開催が行われた。この時ほど小倉がドーム競輪場で良かったと思ったことはない。

 いわき平ナイター最終日、S級決勝9Rは山中の先行1車。南関3車が並ぶが、敢然と番手勝負を挑むのが芦沢だ。内藤とのマーク屋同士の意地をかけた競りが見もの。〔2〕-〔4〕-〔3〕〔6〕〔7〕。(元競輪選手)

■内田浩司(うちだ・こうじ) 1962年8月26日生まれ。福岡県出身。83年4月に51期生としてデビューし、S級上位で活躍。2015年10月29日に引退。通算435勝、優勝34回(記念Vは92年門司記念など6回)。FI先行・吉岡稔真(としまさ=福岡・65期)元選手の兄弟子で連携は多数。実直な性格と厳しい指導から“鬼軍曹”として恐れられていた。夕刊フジ競輪面にコラム『当てちゃる券』を連載中。競輪祭では特別コラム『小倉競輪祭 なう&リメンバー』を執筆。