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【当てちゃる券】続・試合前のルーティン バックヤードでは選手は勝つためにいろんな準備している

 前回書き足りなかったことを書いてみる。選手は番組が発表されて◎なんか付いていると平静を装ってはいても、頭の中はレースのことで一杯だ。特に競りのときなんかは、腹はくくっていても嫌なもの。

 ルーティンにこだわるのはゲン担ぎの側面も確かにある。決めた時間にローラー台が満員で乗れなかったりするとウォームアップのリズムが狂ってしまう。オレはあまり気にしなかったけど、こだわる選手はあらかじめ愛車を置いて場所取りをする選手は多い。

 選手紹介が終わって大をするのがオレの唯一のルーティンだったが、その日は招集直前にもよおし、急いでトイレに行くと満室だった。一刻の猶予もないオレは「すいません、顔見世なんで早く出てもらえませんか~」と叫ぶと扉が開いた。

 「先輩どうぞ(笑)」と出てきたのはこれから先行争いをする選手だった。こういうのも“臭い仲”というんだろうか?

 ルーティンの最後に身体を踏んでもらうという伝統的な仕上げがある。うつぶせになり、同僚に背中や太ももに乗って踏んでほぐしてもらうのだ。半身になって内ももの付け根付近をリクエストするとたまにナニの皮まで踏まれて絶叫することもある。踏んでるとその選手の筋肉の質が分かる。一流選手の筋肉は大抵柔らかいが、例外で背中が亀の甲羅のように硬い先輩もいた。

 このようにレース前のバックヤードでは選手は勝つためにいろんな準備していることをたまには思い出してやってください。

 さて、久留米ナイター初日のS級特選12R。絶好調の鈴木が宮本の逃げを中団キープから仕留める。中団にこだわらずたたき先行もある。

 〔1〕⇔〔5〕-〔2〕〔3〕〔4〕。

 地元好走型の坂本や復調気配の宮本と見ごたえのあるレースが期待できそうだ。

(元競輪選手)

■内田浩司(うちだ・こうじ)1962年8月26日生まれ。福岡県出身。83年4月に51期生としてデビューし、S級上位で活躍。2015年10月29日に引退。通算435勝、優勝34回(記念Vは92年門司記念など6回)。FI先行・吉岡稔真(としまさ=福岡・65期)元選手の兄弟子で連携は多数。実直な性格と厳しい指導から“鬼軍曹”として恐れられていた。夕刊フジ競輪面にコラム『当てちゃる券』を連載中。競輪祭では特別コラム『小倉競輪祭 なう&リメンバー』を執筆。