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【菊池仁志 フィッティング予報】競輪選手と足湯 出走前の男がなぜ湯船を目指すのか?

 愛媛・松山も気温がぐっと下がって冬らしくなってきました。この季節になると思い出すことがあります。それは、自分の現役時代、勝負服にレーサーパンツ姿で足湯をするレース直前の選手の姿です。

 選手宿舎のお風呂は時間帯にもよりますが、日中も入ることができます。レースの終わった選手が身体も心もリラックスできるお風呂でのんびり湯船につかったりするのですが、そこに突然レース前の怖い顔をしたレーサーパンツ姿の選手が入ってくるところを想像してみてください。のんびりした空気感が一瞬にして緊張感あるものにかわります(笑)。

 レーサーパンツ姿の怖い顔をした出走前の男がなぜ湯船を目指すのか?

 競輪選手は、選手紹介からレースまで、レースで使う自転車を使ったウオーミングアップはできません。レースまでに2度3度と検査されている自転車にトラブルがあるとレース発走時間に遅れがでるためです。そこで、身体を冷やさないために各選手がさまざまな工夫をしています。その一つが足湯だったわけです。

 レーサーパンツをまくり上げて湯船に立つ選手、ふちに座って湯船に足を浸す選手もいました。ちなみに、この手法はレースの間隔が広くなる後半のレースしか使えません。

 気温が下がると空気の密度が濃くなり、同じ風速でも風を重く感じてきます。身体全体の動きも悪くなり、ペダルをこぎづらくなることもあります。そんな冬走路には、身体が大きくパワーがある選手、または地脚が強い選手が有利です。

 松山ナイター2日目S級準決勝11Rは、初日にジャン先行で隊列を一本棒にしたパワフル・佐々木選手から狙う。番手・香川選手も初日はコースさえ開けばのレースだった。〔5〕⇔〔1〕から3着を〔2〕〔4〕〔7〕で勝負する。(元競輪選手・プロコーチ)

 ■菊池仁志(きくち・ひとし) 1961年7月生まれ。愛媛県松山市出身。1981年6月選手登録47期。83年4月S1班昇格。2011年11月にS級在籍のまま競輪選手を引退。競輪選手生活30年のうち、S級在籍は28年に及ぶ。

 GI、GII決勝戦進出。GIII向日町優勝など。通算268勝。競輪選手引退後は、競輪解説、コラム執筆などを手掛け、15年からプロコーチとしても活動。「K-FITTINGバイクスクール」を開講し、ジュニアから社会人、プロ選手といった幅広い層の指導にあたる。選手の癖を読み取るのが得意。