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【当てちゃる券】ダッシュ時とゴール前で重要な奥歯のかみ合わせ

 思い切って親知らずを抜いた。以前から肉や繊維質の野菜を食べると必ず歯の間に挟まるので、かなりのストレスだった。それは下あごの右奥に1本真っすぐ生えていたが歯科医はこう言った。

 「奥歯は上の歯と下の歯が対になってこそ食物をすり潰せるわけでして、内田さんのは上の歯がないので下の親知らずはなんの役にも立ってません」

 そうか、せっかく生えてきたのにパートナーがいなかったのか…。

 「知らなかったよ。ひとりぼっちでつらい思いをさせたな。今度生まれてくるときには前歯とか八重歯になるんだよ」

 オレは血の付いた抜いたばかりの親知らずに別れの言葉をかけた。

 スポーツではかみ合わせや歯並びはとても重要だ。超一流選手に歯並びの悪い人はいないといってもいい。顎(がく)関節の異常は身体のさまざまな場所に影響を及ぼすので歯列矯正する選手は多い。瞬発力の差が明暗を分ける競輪では奥歯をかみしめるのは主にダッシュ時とゴール前。スピードが乗ってしまえばリラックスして最後のひとモガキに備える。

 輪友が以前「競輪祭でまくる神山雄一郎の顔を見たら笑っていたから驚いた。お前とはえらい違いだな」と言っていたが、きっとカカってるから脚を回しているだけだったんだろうな。ダッシュのないオレはいつも噛みっぱなしだったのかマウスピースもすぐにボロボロになっていた。

 小倉ナイター初日11Rは町田が追加参戦しシリーズが俄然(がぜん)面白くなった。逃げればマーク・山下とは互角。

 〔5〕⇔〔1〕-〔2〕〔3〕〔7〕。

 12Rは長欠明けだが山田が軸。好機に仕掛けて松岡と決める。

 〔7〕⇔〔2〕-〔1〕〔3〕〔5〕。

(元競輪選手)

■内田浩司(うちだ・こうじ)1962年8月26日生まれ。福岡県出身。83年4月に51期生としてデビューし、S級上位で活躍。2015年10月29日に引退。通算435勝、優勝34回(記念Vは92年門司記念など6回)。FI先行・吉岡稔真(としまさ=福岡・65期)元選手の兄弟子で連携は多数。実直な性格と厳しい指導から“鬼軍曹”として恐れられていた。夕刊フジ競輪面にコラム『当てちゃる券』を連載中。競輪祭では特別コラム『小倉競輪祭 なう&リメンバー』を執筆。