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【当てちゃる券】競輪のラインにある“大きな果実”

 奈良初日コラムでの立川志らべ師匠の疑問に対し、オレの個人的な考えを書きます。

 強いのになぜか中途半端な競走をする山口拳矢(岐阜・117期)。

 対照的に同期の町田太我(広島・117期)はFIを先行で連覇し、迷いのない競走を見せつけた。体格的には小柄な早熟の天才は今後、タイトルを目指すにあたり、スタイルのマイナーチェンジを模索しているのかもしれない。

 それと選手気質もオレたちの頃とはかなり変わった。

 オレは意気に感じてラインの選手が勝てばいいと思って逃げたことが何度もあるが、今は後ろに気を使わないドライな子が多くなった。

 悪く言うつもりはないが「順番が来たら逃げます」のコメントはその最たるもの。

 昔は新人が売り出すなら徹底先行か番手勝負しかなかった。なぜなら、新人が回れる位置はどこにもなかったからだ。上位の連中と真っ向勝負して生き残った人間だけが、先行選手やマーク選手としての「格」をひとつずつ上げていくことができた。

 オレは駄馬だったから「2着は1着と同じ、3着は2着と同じ」と思って逃げていたら、いつの間にか景色が変わっていった。

 彼は今、種をまいて発芽したばかりで、まだまだ収穫の季節ではない。甘くて大きな果実を摘み取るのは何年か先の話でもいいんじゃないかな。

 だからしばらくは同地区のうるさい先輩方々に恩をいっぱい売ればいい(笑)。

 「器」を今よりも大きくすることがタイトルへの一番の近道のように見えるがどうだろうか?

 奈良ナイター-最終日S級決勝12Rの先手は山岸が取る。

 脚を使わず3番手が取れる稲川が後方からまくる渡辺に合わせながら仕掛けて、マーク・村上と決める。

 〔1〕⇔〔7〕-〔2〕〔3〕〔5〕。

(元競輪選手)

■内田浩司(うちだ・こうじ)1962年8月26日生まれ。福岡県出身。83年4月に51期生としてデビューし、S級上位で活躍。2015年10月29日に引退。通算435勝、優勝34回(記念Vは92年門司記念など6回)。FI先行・吉岡稔真(としまさ=福岡・65期)元選手の兄弟子で連携は多数。実直な性格と厳しい指導から“鬼軍曹”として恐れられていた。夕刊フジ競輪面にコラム『当てちゃる券』を連載中。競輪祭では特別コラム『小倉競輪祭 なう&リメンバー』を執筆。