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【内田浩司のまくり語り】金の卵・山口拳矢論 そしてさくら頑張れ!

 期待されているがゆえに、いろいろ言われてる山口拳矢(岐阜117期)だが、先の豊橋FIではすべての批判を一掃するような走りで優勝した。

 彼がもたついていた理由を考えてみると、全勝でS級まで駆け上がったとなれば、選手間に存在するしきたりや決め事を経験する暇もなかったろうし、「金の卵」には周りも言いにくかったと思う。落語の世界に例えるなら前座で初高座に上がったと思ったら一年で真打に昇進したようなものか。

 もちろんあり得ない話だが、スポーツの世界では強ければこれができる。だが、経験値が足りない分、GIIで連携した大スターと齟齬(そご)が生じても仕方なかろう。

 もし、「お前の好きに走っていいぞ」と言われてたら今時の子は好きに走るだろうし(笑)。ほんとは面接試験なんだけど…。      

 9車立ても問題だ。養成所では7車立てと9車立ての両方で模擬レースをやるそうだが、デビューするとチャレンジ→A級→FIとすべて7車立て。

 「今節はGIIだから9車立て」と言われても実戦の経験はなし。おまけに走る相手S級上位では勝手が違う。7車立てはオレも経験あるが、たった2車減っただけでやけにシンプルに感じた。

 レースの難解さでは将棋とチェスくらいの差があるかな。コロナの影響で一般戦の5車立てをみかけるが、こうなるともう飛車角桂香抜きの駒落ち対局だ。話が脱線したが、これからの山口拳矢は経験値を増しながら間違いなく超一流の競輪選手に成長していくはずだ。

 久留米ナイター今場所の山原さくらは、やや車の出が悪い。父・利秀(高知63期)はオレの友人で土佐の“いごっそう”。山内容堂公ばりの酒豪なのだが、さくらちゃんもいける口なのかな?

 よく小倉に出稽古に来てるし、今度メシでも誘ってみようかな。(元競輪選手)

 ■内田浩司(うちだ・こうじ) 1962年8月26日生まれ。福岡県出身。83年4月に51期生としてデビューし、S級上位で活躍。2015年10月29日に引退。通算435勝、優勝34回(記念Vは92年門司記念など6回)。FI先行・吉岡稔真(としまさ=福岡・65期)元選手の兄弟子で連携は多数。実直な性格と厳しい指導から“鬼軍曹”として恐れられていた。夕刊フジ競輪面にコラム『当てちゃる券』を執筆。『まくり語り』を連載中。競輪祭では特別コラム『小倉競輪祭 なう&リメンバー』を執筆。