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【内田浩司のまくり語り】大ギア時代も10数年が経過。フレームと乗車フォームの変化は?

 東京オリンピックは日本勢の金メダルラッシュで獲得数は10日目までで3位。いやがうえにも2日から始まる自転車トラック競技へのメダルへの期待が高まってきた。

 ところで競輪の大ギア時代も10数年が経過し、最近のフォームやサイズがどのように変化してるのか、少しだけ専門的になるが素人の方にもできるだけ分かりやすく説明していこうと思う。

 まずは乗車フォーム、大ギアでは初動が重たいため意識と重心を常に前に置き、踏み出しで瞬時に持てる力の全てをクランクに伝え、トルクを最大限に引き出せる乗り方を追求する。ところがフレームサイズを調べると意外なことが分かった。トップクラスではより反応を追求したものが使われているのかと思いきやその反対で、むしろ安定感とスピードの伸びに重きを置いたサイズを採用している選手が多い。

 フレームサイズには昔から流行があるが、今は平原康多仕様がトレンドらしい。推測だが超高速競輪に適応したマシンなのだろうだろう。プロの乗車フォームは、身長、体重、手足の長さ、筋力、脚質、性格、年齢、戦法などで誰一人として同じものはない。

 特徴的だった過去の選手でパッと浮かぶのが児玉広志の超の付く前乗りフォーム。ただ走り方なのかフレームなのか彼は落車が多かった。現在で特徴的な乗り方をしてる強い選手と言えば浅井康太かな。見た目は尻をサドルの前半分にちょこんと乗せた彼独特の前乗りフォーム。

 初めて見た時は窮屈そうに見えたが、それは“左重心”と呼ばれるしっかりとした理論に裏打ちされたフォームであることが分かった。個人的にオレが好きなフォームの選手は奥井迪。昭和の先行屋を彷彿とさせる後ろ乗りで逃げる姿には思わず声が出てしまう。39歳になっても逃走心は少しも衰えていない。つまるところ、フレームもフォームも人マネではなく自分の努力で見つけ出すものだと思う。

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 別府FIナイターが始まったが、別府競輪場の宿舎の風呂は広くていい。だが引いている温泉の温度が桁違いに熱くて入れない。熱湯をうめるためにいつも長いホースを放り込み、水を全開で注入する。まるで生き物のように湯船で暴れるホースと一緒にやせ我慢しながら選手たちは一日の疲れを癒すのだ。

(元競輪選手)

■内田浩司(うちだ・こうじ)1962年8月26日生まれ。福岡県出身。83年4月に51期生としてデビューし、S級上位で活躍。2015年10月29日に引退。通算435勝、優勝34回(記念Vは92年門司記念など6回)。FI先行・吉岡稔真(としまさ=福岡・65期)元選手の兄弟子で連携は多数。実直な性格と厳しい指導から“鬼軍曹”として恐れられていた。夕刊フジ競輪面にコラム『当てちゃる券』を執筆。『まくり語り』を連載中。競輪祭では特別コラム『小倉競輪祭 なう&リメンバー』を執筆。