【血圧を下げる新常識】日本人の腎臓、欧米人に比べて少ないネフロン数 出産時から増えることなく…生活習慣病の改善で対策を

東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科の坪井伸夫准教授(左)と神崎剛助教

 日本人は、欧米人と比べて高血圧の人が多いといわれる。塩分摂取が比較的多いことに加え、高血圧と関係の深い腎臓のろ過装置・ネフロンの数が、日本人は少ないことが今年10月の研究論文で初めて明らかになった。つまり、腎機能があまり良いとはいえないゆえに、高血圧にもなりやすいと考えられるのだ。

 「以前に報告された海外の研究で、ネフロン数が少ないと高血圧になりやすいことはわかっていました。今回、日本人のネフロン数が欧米人と比べて少ないことがわかり、高血圧改善などの重要性は増したと思っています」と、先の論文の共同研究を担った東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科の坪井伸夫准教授は話す。

 では、なぜ日本人のネフロン数は少ないのか。欧米人と比べて平均身長が低いなど体格的な差はもとより、出産時の体重にも関わるという。

 「腎臓は、妊娠9週から36週の胎児の段階で作られ、ネフロン数は出産時に決まります。2500グラム以下で生まれた方々は、ネフロン数が少ないと推定されているのです」と、日本人のネフロン数を測定した同科の神崎剛助教が指摘する。

 かつては、妊婦の肥満に伴う妊娠高血圧症や妊娠糖尿病を防ぐため、体重管理指導が厳しく行われ、「小さく産んで大きく育てる」ことが推奨された。ところが、海外の疫学調査で、低体重児は大人になってから高血圧や糖尿病など生活習慣病のリスクが高まることがわかっている。そのひとつの要因として考えられているのが、腎臓のネフロン数の少なさだ。

 「生まれてからネフロン数が増えることはありません。低体重で生まれたお子さんは、ネフロン数が少ないだけでなく、その機能も弱い可能性があるのです。腎臓を守ることを意識していただきたいと思います」(神崎助教)

 早産などで低体重出産は珍しいことではない。また、第二次世界大戦直後の日本は、食糧難だったこともあり、低体重で生まれて大人になった人もいるだろう。日本人のネフロン数の少なさと、それらがどう関係するかは、今後の研究に委ねられるが、いずれにしても腎臓は弱いとの認識が日本人には必要だ。特に別項に当てはまる人は、食生活に注意しよう。

 「ネフロン数の減少は、自覚症状に乏しいまま進み、元には戻りません。腎機能の低下に伴うタンパク尿を見逃さず、食生活の見直しや、血圧管理など生活習慣病の改善に努めていただきたいと思います」(坪井准教授)

 腎臓を守れば血圧もコントロールしやすい。負の連鎖を断ち切ろう。 (安達純子)

 ■注意したい腎機能の主な低下要因
 □2500g以下の低体重で生まれた
 □塩分など味の濃い食生活を続けている
 □睡眠不足が続いている
 □家庭血圧測定で135/85mmHg以上の高血圧状態が続いている
 □高血糖状態である
 □動脈硬化が進んでいる
 □BMI(体格指数=体重kg÷身長m2乗)が「25」以上の肥満である