【ゆる登山はじめました】山での遭難、ヘッドランプが命の灯に 前日に点灯&電池残量の確認を

富士山のご来光登山にヘッドランプは必需品だ =和気淳撮影

 前回、ケガや病気に備える救急道具について解説をしましたが、今回はエマージェンシーグッズについてです。ケガや道迷いなどの遭難時、山で長時間過ごさなくてはならなくなったとき使う非常用装備のことです。

 体を包んで保温できるエマージェンシーシート、ヘッドランプ、ライター、ナイフ、ホイッスル、ツェルト(簡易テント)、日持ちがよくコンパクトな非常食、事故の記録などをとるための筆記用具などが、私が普段の山行で持ち歩くエマージェンシーグッズです。

 通常の山小屋、あるいはテント泊でも使う、最も使用頻度が高い重要アイテムがヘッドランプです。山の中で一夜を明かさなければならなくなったとき、真っ暗な中で過ごすのと、小さくても明かりがあるのとでは心の余裕が違います。

 下山が遅れたときの備えにも、ヘッドランプは必須アイテムです。山には街灯がなく、日没を迎えると、本当に真っ暗になります。

 日没まで至らなくても、山の端に日が落ちると、うっそうと木が茂る山の中は、かなり薄暗くなり、登山道の凸凹が見えづらくなったり、道自体も分かりづらくなったりします。

 そんな中で行動すれば、道迷いや滑落のリスクも高まりますし、精神的にも消耗します。

 短時間の低山ハイキングでも、道迷いや突発的なケガ、あるいは素晴らしい景色をゆっくり楽しみ過ぎて下山が遅れることは十分にありえます。日没の早い冬は、日が暮れて山の中が暗くなるのも思ったより早いです。

 泊まりの登山でなくても、夜間歩行をともなう登山でなくても、ヘッドランプは必ず持ち歩きます。

 ヘッドランプは、必ず予備の電池も持ち歩くようにしましょう。前日に持ち物を揃えるとき、点灯するかの確認をしておくこと。電池の残量が分かるヘッドランプなら、残量が心許ない場合、あらかじめ新しい電池に交換しておくことをおすすめします。

 下山時に日没を迎えそうなら、完全に暗くなる前にザックから取り出しておくことも大事です。

 数年前、日帰り登山で少し下山が遅れてしまったことがあります。暗くなる前にヘッドランプを用意して歩き続け、あたりが薄暗くなってきたので満を持してランプを点灯したら、弱々しい光で愕然。電池の残量がほとんどなかったのです。

 慌ててザックからエマージェンシー袋を取り出し、予備電池を交換しようとしましたが、どんどん暗くなっていくなかでの作業、思うようにいきません。同行者のランプで手元を照らしてもらい、冷や汗をかきながら電池を交換したのでした。

 【どんなヘッドランプを用意するか】 ヘッドランプは登山用品店で取り扱っていますが、大きさ、光量などさまざまで、価格も幅広いです。富士登山など積極的に夜間歩行をするのでなければ、光量は最低限でよいと思います。コンパクトで軽く、機能がそれほど多くないシンプルなものが使いやすいです。安くて小さいものでも、持つことが大事です。

 「懐中電灯やペンライトがあればよいですか」と質問を受けることがありますが、ゴムバンドで頭に装着できる登山用をおすすめします。歩いているときも、立ち止まって作業をするときも、片手が塞がっているより両手が使える方が安全です。

 ■西野淑子(にしの・としこ) オールラウンドに山を楽しむライター。日本山岳ガイド協会認定登山ガイド。著書に「東京近郊ゆる登山」(実業之日本)、「山歩きスタートブック」(技術評論社)など。NHK文化センター「東京近郊ゆる登山講座」講師。