【ゆる登山はじめました】便利すぎる「ツェルト」 風や寒さ、濡れを避ける手段として非常に有効

コンパクトに収容が可能なツェルトは、テントに代用できる

 山歩きが趣味になり、山に行く頻度が上がってきたら、装備として持つようにしたいエマージェンシーグッズ(非常用装備)のひとつがツェルト(簡易テント)です。

 下山が遅れて、やむを得ず山で一夜を過ごさなくてはならなくなったとき、すっぽりと体全体を覆うようにしてかぶります。細引き(細いロープ)や別売りの張り綱、トレッキングポールなどを使えば、テントのように張って中に入ることもできます。夜中に風や雨、夜露をしのぐことができるものがあるのとないのとでは、快適さが大きく変わります。

 本来は、ひとりがひとつ持つことが望ましい装備ですが、多くの登山者は持っていなかったり、持っていても使ったことも袋から出したこともなかったりします。

 ビバークに使う非常用装備……と考えると、「自分の登山はそれほどハードではないし、なくてもよいのではないか」と思いがちです。

 しかし、ツェルトはビバーク以外にもさまざまな用途で使える、汎用性の高いアイテムです。それを知ったのは10年ほど前、冬の低山ハイキングでした。

 山頂で別のルートから来る友人と待ち合わせをしたのですが、かなり早くに到着してしまいました。晴れているけれど、気温が低く、風も少し出ていました。

 「こんななかで待つのは、ちょっとつらいな……」と思っていたら、一緒に山頂に着いた同行者がツェルトを取り出しました。

 「これをかぶって待っていましょう」と言われ、ザックを尻に敷き、頭からすっぽりかぶったら……。風を避けられるうえ、日ざしで温室のようにツェルトの中はポカポカに。あまりに快適で居眠りをしてしまったのでした。

 気温が低かったり、細かい霧雨が降っているようななかで休憩を取りたいとき、風や寒さ、濡れを避ける手段としてツェルトは非常に有効です。

 「もったいない」といわれつつ、私はレジャーシート替わりに使ってしまうことが多いです。それなりに広いので、数人がラクラクと座ることができます。

 また、やや大きめの収納袋に移し替えて座布団として使っている知人もいます。ツェルトの収納袋はコンパクトにするため、小さな袋のことが多いですが、やや大きめの袋にしておけば、使ったあとにしまうのも手早くできて楽です。

 私自身は、より軽量化をしたいテント泊登山のとき、あえてテントではなく、ツェルトを使うこともあります。

 ツェルトを入手したら、まず自宅で開いて構造を確認してみましょう。できれば実際にかぶってみたり、テントのように張ってみることをおすすめします。くれぐれも、初めての使用が本物のビバークにならないようにしたいものです。

 【どのサイズを買うか】 ツェルトのサイズは、おもに1人用(1万円~)と2~3人用(1万5000円~)があります。1人用は握りこぶし大に収納できるコンパクトさで軽いです。ポンチョのように羽織ることができるモデルもあります。

 2~3人用は500ミリリットルのロング缶程度の収納サイズでかさばりますが、テントのように張れば、なかで2~3人が横になって休んだり、4~5人が座って休むこともできる汎用性の高さが魅力。私が持っているのもこちらのタイプです。

 まず持つことを習慣づけたいなら軽量コンパクトな1人用、いずれ積極的に使うことを考えたいなら2~3人用をおすすめします。

 ■西野淑子(にしの・としこ) オールラウンドに山を楽しむライター。日本山岳ガイド協会認定登山ガイド。著書に「東京近郊ゆる登山」(実業之日本)、「山歩きスタートブック」(技術評論社)など。NHK文化センター「東京近郊ゆる登山講座」講師。