【人とペットの赤い糸】盲導犬は大切な家族の一員 おやつをあげる、なでる…慎みたい勝手な行動

盲導犬は人にとって大切なパートナー

 介助犬、聴導犬の他、補助犬の中で最も多いのが盲導犬である。視覚障害者は約33万8000人(昨年3月31日現在)だが、盲導犬の数はまだ950頭(同12月1日現在)しか存在しない。

 盲導犬は視覚障害者の方々を安全に誘導することで知られている。英語で「Guide Dog」または「Seeing Eye Dog」と呼ばれ、まさに視覚障害者に代わって、目の役割を担い、安全にガイド・誘導している。

 日本最初の盲導犬は1957年に認定されたシェパード犬の「チャンピィ」だ。現在、盲導犬を育成する各団体が長年の経験から、盲導犬として最も適していると判断している犬種はラブラドール・レトリーバーやゴールデン・レトリーバーだ。

 なぜ盲導犬に向いているかというと、優しくおとなしく、仕事をするのが好きで人に寄り添うのに適した性格だからである。また、大型犬で人の歩く速度とほぼ同じ速度で歩くこともできる。

 盲導犬は視覚障害者のために、障害物を避けたり、段差や角を教えたり、安全に歩くためのお手伝いをしている。道路交通法や身体障害者補助犬法という法律でも認められていて、目の不自由な人と一緒に電車やバスに乗り、公共施設やレストラン、デパート、スーパーなどに入ることができる。盲導犬所有者は盲導犬使用者証を携帯することが義務付けられている。

 盲導犬を育成するには盲導犬訓練士が不可欠だ。盲導犬訓練士は最終的に盲導犬の訓練だけではなく、目の不自由な方と盲導犬との歩行指導を行う、盲導犬歩行指導員でもある。盲導犬歩行指導員は目の不自由な方に盲導犬とどのように歩行するかという技術的な指導のみでなく、盲導犬との生活を始めるのに立ち会い、その後も見守るという責任がある。

 盲導犬にはハーネスと呼ばれる白または黄色の胴輪(どうわ)が着けられている。視覚障害者はこのハーネスをハンドルとして持ちながら歩行する。盲導犬にとっては「さあ仕事だ」という意識になるのがハーネスだ。よって、ハーネスは視覚障害者にとっては体の一部でもあるので、他の人が触ってはいけない。

 盲導犬と歩いている視覚障害者をサポートしたい、盲導犬をなでたい、おやつをあげたいと思う人もいるかもしれないが、盲導犬は視覚障害者の体の一部と考えて、勝手な行動は慎みたい。飼い主に一声かけ、了解をもらうことが大切だ。

 盲導犬の飼い主やその家族は、盲導犬の健康管理を含め、食事やトイレの世話、被毛の手入れなど大切な家族の一員としてのケアも欠かせない。補助犬の代表的な役割を担う盲導犬も人にとって大切なパートナー、赤い糸である。

 ■越村義雄(こしむら・よしお) 一般社団法人「人とペットの幸せ創造協会」会長。同ペットフード協会名誉会長。一般財団法人日本ヘルスケア協会理事、「ペットとの共生によるヘルスケア普及推進部会」部会長など。