【ブラックジャックを探せ】歌舞伎町に“背骨手術”の名手 「丁寧な診断」で安全性高める 東京都保健医療公社大久保病院整形外科医長・小粥博樹さん

小粥博樹医師

★東京都保健医療公社大久保病院(東京都新宿区)整形外科医長・小粥博樹さん(52)

 東京・新宿歌舞伎町の一角に、「背骨の手術」の名手がいる。

 東京都保健医療公社大久保病院(旧・都立大久保病院)整形外科医長の小粥博樹医師がその人だ。

 「学生時代に脊椎の手術を見学して、神経走行の美しさとダイナミックな手術に魅了されました。『“背骨の外科医”になりたい!』と思っていたら、うまい具合にもぐり込めて…」

 腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアなどを中心に、同院で年間およそ100件の手術を執刀するだけでなく、週に1回出かけて行く埼玉県内の病院でもほぼ同数の手術を行っている。

 透析治療に力を入れていることで知られる大久保病院。そのため、整形外科でも透析性脊椎症など、高度な全身管理を必要とする手術が多いのが特徴だ。他にも、糖尿病や肝不全を合併する患者の脊椎手術なども多く手掛ける小粥医師のこだわりは、「丁寧な診断」だ。

 「整形外科というと体力勝負と思われがちですが、決してそんなことはない。慎重な診断の徹底が手術の安全性を高め、思い通りのきれいな仕上がりに結び付く」

 たとえば“腰痛”という症状だけでも、考えられる要因は多岐にわたる。患者の話に耳を傾け、考えられる選択肢を詳細に検証し、加えて患者のパーソナリティーや心理的要因も考慮しながら確定診断につなげていく。時には整形外科領域にとどまらず、他科との連携による総合力で治療にあたることも珍しくない。

 そんな小粥医師の得意とする技術の一つに「顕微鏡手術」がある。

 「一般的な内視鏡手術ではなく、顕微鏡で術野を見ながら進めるこの手術は、“立体視”の面で優れており、神経の位置関係などをクリアに確認することができます」

 小粥医師のこうした診療姿勢の根底には、「データを治すのではなく、患者を治す」という哲学がある。そのこだわりの目が、都民の背骨を見守っている。 (長田昭二)

 ■小粥博樹(おかい・ひろき) 1965年東京都生まれ。91年慶応義塾大学医学部卒業。同大整形外科入局。平塚市民病院、日本歯科大学市川病院、稲城市立病院、社会保険埼玉中央病院(現・JCHO埼玉メディカルセンター)、太田総合病院、立川病院等に勤務ののち、2015年から現職。日本整形外科学会認定整形外科専門医・脊椎脊髄病医。趣味はバイクと映画鑑賞。