【人とペットの赤い糸】殺処分、先進国に比べて必ずしも多くはない日本 欧米では獣医師にペットの安楽死望むケースも

殺処分されている不幸なペットが多くいる

★殺処分を考える(1)

 現在、飼い主が見つからず、また誰のペットかも分からないペットが各地の保健所などに収容され、各自治体にもよるが約1週間で炭酸ガスによって殺処分されている不幸なペットが多くいる。そのようなペットは昭和49(1974)年度には122万1000頭いたが、平成28(2016)年度は5万6000頭(猫4万6000頭、犬1万頭)に減ってきている。

 減少の理由は、動物愛護・動物福祉に力を入れている行政や諸団体の努力によるものである。今のような努力が継続されるとすれば、今後5年前後で殺処分の数はゼロに近づくことが予測される。ただし、平成28年度の引き取り数は11万4000頭(猫7万3000頭、犬4万1000頭)であった。

 国際的な動物愛護・福祉の考え方において、動物の5つの自由を守るという考え方がある。(1)飢えと渇きからの自由(2)不快からの自由(3)痛み、負傷、病気からの自由(4)恐怖や抑圧からの自由(5)自由な行動を取る(正常な行動を表現する)自由の5つである。

 不幸なペットを出さないように、人とペットの関係はいつまでも理想的な赤い糸の関係でありたい。ペットを愛する人々は誰一人、不幸なペットが存在していいとは思っていないはずである。

 日本人の一般的な考え方には、欧米と比べて、日本は殺処分が多いと理解している人が多いが、先進国に比べて、殺処分数は必ずしも多くない。米国では今でも200万頭が年間殺処分されている。また、欧州でも野犬は銃で射殺されたり、重篤な病気で治る見込みのないペットは安楽死されている。

 欧米では、飼い主自ら病気のペットを苦しめないために、獣医師に安楽死を望むケースも多くあり、また、獣医師自身も動物愛護・福祉の観点から重篤で苦しんでいるペットの安楽死の権限を与えられている国もある。

 日本における殺処分の主な理由は、ペットの飼育放棄や遺棄であり、それらのペットは誰の所有か分からないケースがほとんどだ。

 自治体では安易な受け入れを断るようにし、殺処分が減っているように見えるが、受け入れられなかった場合、飼い主が山中や動物病院の前に遺棄することも見受けられる。遺棄されたペットの中で、避妊去勢をされていないペットも多いので、繁殖力の旺盛な猫では野良猫が増えるという現象もある。

 一方、民間団体では、殺処分ゼロを目指すために能力を超えて引き取り、ペットのケアが十分できないというケースが生じ、問題になっている。

 人とペットがいつまでも健康で幸せに暮らせる社会の実現が最重要課題だが、次回は殺処分に関する具体的な解決策を提言することとしたい。

 ■越村義雄(こしむら・よしお) 一般社団法人「人とペットの幸せ創造協会」会長。同ペットフード協会名誉会長。一般財団法人日本ヘルスケア協会理事、「ペットとの共生によるヘルスケア普及推進部会」部会長など。