【雪見温泉紀行】2つの源泉が楽しめる 会津・金山、極上の天然温泉 山里の知恵が詰まった郷土料理も

湯けむりの手前がリニューアルされた「せせらぎ荘」

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 この時季、雪の温泉も乙なものだ。雪見温泉シリーズ第1弾は奥会津。只見線は福島県の会津若松駅から新潟県魚沼市の小出駅を結ぶ、鉄道好きの聖地と呼ばれるJR東日本のローカル線。2011年7月の豪雨で鉄橋が流失し、不通区間をバスで補っていたが、21年に完全復旧が決まり勢いづいている。この沿線に位置する金山(かねやま)町には極上の天然温泉が点在している。(プレスマンユニオン理事/温泉ソムリエ泉伝部長・板倉あつし)

 金山町は滝沢温泉、大塩温泉、湯倉(ゆぐら)温泉、中川温泉、八町(はちまち)温泉、玉梨温泉、大黒温泉の7つの温泉天国。野尻川沿いの町営共同浴場「せせらぎ荘」が昨年リニューアルオープン。2つの源泉が楽しめる。

 玉梨温泉町営源泉の源泉温度は45・9度とすこし熱めの湯を適温に調整して利用。大黒湯泉の源泉温度は36・8度と分析表に示されているが、現在は39・6度(温泉は生き物で日々変化している)の絶妙なヌル湯で、全身に泡が付く国内屈指の炭酸泉。空気に触れることなく浴槽の側面からあふれ出す湯の効能は、血管拡張による血圧の低下、体内の酸素濃度の上昇など。どちらも正真正銘の源泉かけ流しで、毎日清掃換水と管理も100点満点だ。

 宿泊した日本秘湯を守る会「恵比寿屋旅館」では玉梨温泉と八町温泉が楽しめる。夕食は奥会津地区ならではの、山里の知恵が詰まった郷土料理。身欠きニシンをサンショと調味液で漬け込んで、柔らかく戻したニシンのサンショ漬け。日本海側から幾つもの峠を越えて持ち込まれた貴重なタンパク源の塩漬けクジラはみそ汁仕立て。地酒や金山町産の天然炭酸水で作ったハイボールとの相性も抜群に良い。恵比寿屋のすぐ近くにある八町温泉は、素朴な風情満点の混浴(女性限定日もある)風呂だ。大塩温泉共同湯の黄褐色の湯はとにかく良く温まる。

 只見川沿い湯倉温泉の旅館「鶴亀荘」の温泉は黄白褐色の湯で源泉温度は61・3度。食事もうまいと評判。湯倉産のクルミを使ったクルミ豆腐、干し柿チーズ、花豆などの地の食材を繊細に美しく仕上げる夕食は二十余品。大ぶりな子持ちアユの有馬煮(実サンショを用いた煮物)は、濃すぎず甘すぎず、中骨も気にならない絶妙の煮加減が素晴らしい。