【麺喰いにつき】350円ラーメンに恐れ入りました 新旧併せてもっともっと食べに行かねば

「中華タカノ」(東京・足立区竹の塚)のラーメン

 都内には6000~8000軒のラーメン店があるといわれており、もちろん全部は回り切れていない。しかし、話題になるような店はたいがい行っている。でも、年中無休で24時間営業の店にはなかなか入らない。大将はいつ寝てるの? 大将が居ないときは味、大丈夫? 24時間営業だと常時おいしい物を提供するためには腕のいい職人を何人かそろえなきゃダメだろうし、いったいいつ掃除をするのだろう? とあれこれマイナス要因を思い浮かべてしまう。

 おまけにラーメン350円、餃子250円と聞いたら「安かろう○かろう」と考えてしまう。この値段でおいしかったら、この業界で20年食べている私の耳にも入ってくるだろうし。

 ところが21年目の私の耳に「意外といける」という情報が入ってきたのがつい先日。地元の人の情報だとなかなか行かないと思う。しかし、予約がなかなか取れない人気飲食店の店主からコソッと聞いた話だったら、そりゃ行くでしょう。行かねばならんでしょう。ちょうどいいことにその近所に話題の新店もオープンしていたものだからセットで行ってきた。

 東武伊勢崎線・竹ノ塚駅前にあるその店の名は「中華タカノ」。テーブルが多く席数があるのですぐに座れた。でもガラガラではなく、ほどよい回転具合でそこそこ活気がある。駅前ということもあり人気があるようだ。ラーメンと餃子を注文。2つで600円というのだから恐れ入る。ワンタンも350円と安い。

 でも、面白いことに安いのはこの3品のみ。あとは街の中華料理店と同等。五目そば800円、海老そば900円。オムライス700円、天津丼800円など。戦略的な価格設定が功を奏しているのかもしれない。

 そして出てきたラーメンは実にシンプル。薄い色の醤油スープ。油少なめ。具はチャーシュー、メンマ、きぬさや、なると。麺は細麺ストレート。

 私の会社の近所にある蕎麦屋で食べるラーメンに近い。実はこういうシンプルなラーメンも好きで近所だからよく食べている。そして餃子が意外といける。野菜多めで甘味もあり、後を引く。深夜とか、朝早くとか、近くにいて小腹が空いたときとか、使い道はいろいろありそう。

 都内では毎月50軒ほどの新店がオープンしている。ラーメン評論家という仕事をしているとそれらの店を追うことで忙しい。地味ながら昔から愛されている店でまだまだ行くことができてない店がまだまだある。新旧併せてもっともっと食べに行かねば、と改めて思う出来事であった。

 ■ラーメン耳寄り情報「中華タカノ」(東京・足立区竹の塚) 老舗の中華食堂。ラーメンが350円と安いがシンプルながら味わい深い。250円の餃子もおいしい。普段使いによさそうな店。

 ■大崎裕史(おおさき・ひろし) 自称「日本一ラーメンを食べた男」。2017年3月現在で1万1950軒、2万3550杯のラーメンを食破。株式会社ラーメンデータバンク代表取締役、日本ラーメン協会理事。Webおよび携帯の「ラーメンバンク」を運営している。