【雪見温泉紀行】長崎県雲仙温泉でみえる「霧氷の幻想」 強酸性の個性的で力強い泉質も

妙見岳山頂の木立に着く霧氷「花ぼうろ」が美しい

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 開湯701年と伝わる長崎県雲仙温泉は、1934年に日本初の国立公園に指定されるまで「温泉岳」と書いて「うんぜんだけ」と読んでいた歴史をもち、「西の軽井沢」と呼ばれたハイランドリゾート。上海航路が1923年に就航してからは外国人避暑客が数多く訪れて発展した。

(プレスマンユニオン理事/温泉ソムリエ泉伝部長・板倉あつし)

 雲仙の冬は厳しい。仁田峠から国立公園初のロープウェイ「雲仙ロープウェイ」に乗り込み、妙見岳山頂を目指す。晴れた昼間でもこの時期の気温は氷点下になる。標高1333メートルの山頂には粉雪が舞い、木々には花ぼうろ(雲仙の方言で霧氷のこと)が着く。山頂からのパノラマは「雲上快晴一望千里」。雲仙普賢岳、橘湾、天草諸島、日本初のパブリックコース「雲仙ゴルフ場」、おしどりの池、諫早湾干拓堤防道路も見える。

 創業から350年、雲仙温泉最初の湯宿「湯元ホテル」の館内は、古き良き時代のレトロモダンそのもの。特注の木製カウンターや照明器具、建具やエクステリアのテラコッタに至るまで吟味され味わい深い。大正・昭和期の歌人、脚本家で伯爵の吉井勇や、ホトトギス俳壇の主宰者である高浜虚子も通ったという。

 自慢の温泉の源泉・雲仙温泉(八幡地獄)は、酸性-含硫黄-アルミニウム-硫酸塩温泉。源泉温度50・5度。PH1・8の強酸性なので加水しないと入れない。個性的で力強い湯だ。

 宿泊した「宮崎旅館」の創業は1929(昭和4)年、日本初の自動ドア、日本初の展望エレベーター導入など先進性を持ちながら日本の伝統を守る古き良きホテル旅館スタイル。部屋出しの夕食は三十余品と豪華。料理長オリジナルの赤ワイン入り割り下で作る「雲仙宮崎旅館特製トマトすきやき」は、島原半島原城トマトのグルタミン酸と、牛肉のイノシン酸のうまみ成分が見事にマッチした逸品。

 源泉・邪見地獄の泉質は単純酸性温泉。源泉温度は79・2度。PHはレモン汁と同等の2・5なので殺菌力は抜群、慢性皮膚炎などに効果が高い。白濁の湯は酸味があり、硫化水素臭がある、正真正銘の源泉かけ流しだ。

 【問い合わせ】「雲仙温泉観光協会」「雲仙ロープウェイ」「雲仙湯元ホテル」「雲仙宮崎旅館」「#雲仙たのしー」でWEB検索