【ブラックジャックを探せ】前立腺がん診断と治療の若きエース、東海大学医学部付属八王子病院泌尿器科医長・小路直さん

小路直医師

★東海大学医学部付属八王子病院泌尿器科医長・小路直さん(40)

 「子供の頃は画家になりたかったんです。平山郁夫や東山魁夷の日本画に憧れていて…」と笑うのは、東海大学准教授で、同大医学部付属八王子病院泌尿器科医長の小路直医師。前立腺がんの診断と治療の分野で頭角を現す若きエースだ。子供の頃から絵筆をとっていた小路医師。単に絵に憧れるだけでなく、平山画伯の文化貢献に傾ける情熱に心を動かされていた。

 そんなある時、医師である父の姿を見て、同じ「人のためになる仕事」の存在に気づいて医学部進学を決意する。

 泌尿器科医となり、アメリカ留学で低侵襲治療(体に与えるダメージの小さな治療)に興味を持つ。帰国後は、前立腺がんに対する診断と治療における最新の低侵襲技術を導入し、高い成果を上げている。

 小路医師が行う診断法は、前立腺内部の三次元的がん局在診断法。PSAという前立腺がんの腫瘍マーカーでがんの存在が疑われる患者を対象に、スライス幅を狭くしたMRI画像と超音波で得たデータを融合させ、がんの場所や大きさ、形を特定した上で組織検査を行うもの。小路医師らのチームが2013年に日本で初めて導入した、きわめて高精度の検査法で、現在厚生労働省が認める「先進医療」にも加えられている。

 一方、治療法では、高密度焦点式超音波療法(HIFU)という技術を取り入れている。

 肛門から直腸に挿入した器具から超音波を高密度で局所的に照射するこの技術。手術のように切らずに済むだけでなく、排尿、勃起、射精といった重要機能の温存という大きなメリットがある。

 「日本では近い将来、前立腺がんが男性のがん罹患率の首位に躍り出ると予想されています。この病気が決してひとごとではないことを意識してほしい」と小路医師。

 脅威は目の前に差し迫っている。いざというときに、この記事のことを思い出してほしい。(長田昭二)

 ■小路直(しょうじ・すなお) 1977年東京都生まれ。2002年東京医科大学医学部卒業。04年聖路加国際病院外科系研修医修了。08年東海大学大学院医学研究科修了。同年同大医学部外科学系泌尿器科学助教。東京薬科大学薬学部客員研究員。10年東海大学医学部講師。11年から13年米・南カリフォルニア大学留学。14年東海大学医学部准教授。同付属八王子病院医療連携室長を兼務。日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本癌治療学会がん治療認定医、日本泌尿器内視鏡学会腹腔鏡認定医他。医学博士。