【人とペットの赤い糸】軽度な状態から抑鬱状態まで…ペットロスを克服する方法 「扶養ペット慶弔規定」制定で感謝の声

ペットの写真ばかり眺めている

 ペットの死は、ペットと暮らしている人なら誰もが経験する。かけがえのないペットを亡くし、世間でいう「ペットロス」になる人も少なくない。

 そもそもペットロスとは、愛するペットを失ったことで、長期に渡ってそのショックやストレスから立ち直れない状態を指す。中には、「親が死んだときより悲しい」「心にぽっかり穴が開いたようだ」「ペットの写真ばかり眺めている」「来世でまたあの子に会えるだろうか」「どんな慰めの言葉も意味がない」「仕事が手につかない」などの声も。悲しみは深く、軽度な状態から抑鬱状態まで、さまざまな反応が出る。

 筆者が外資系ペットフード会社の社長だった時代、ペットを亡くした社員が、悲嘆にくれて仕事が手につかず、会社を休むことが時々あった。

 こうした経験を踏まえ2005年11月1日、世界で初めてペットと暮らす社員に適用する「扶養ペット慶弔規定」を制定し、祖父母が亡くなったときと同じように、ペットの死亡弔慰金を含め忌引休暇を社員に適用した。わずか1日ではあるが、「人間の家族同様、お葬式や供養ができた」「思いっきり泣く時間が取れた」「心の整理にいい時間だった」と、社員からは感謝の言葉があった。

 ペットとの関わり方には人それぞれに違いがあり、ペットロスを克服するといっても一概に「これが最善の方法」と断定することは難しい。ただ、今までペットロスを克服されてきた方々の経験に基づくと、次のような方法が参考になるかもしれない。

 (1)思いっきり泣く時間を惜しまない(2)親友・知人などに悩みを聞いてもらう(3)お葬式をして心の整理をする(4)ペットの骨などをアクセサリーとして身に着ける(5)信頼のおけるペットロスホットラインに相談する。

 新たなペットを迎え入れて克服した人もいるが、以前のペットのことをできるだけ思い出さないように異なる種類のペットを迎え入れるようにしたい。また、鬱病などを発症しかねない精神的なダメージが重い人については、心療内科などの医師に相談することも大切だ。

 ペットを迎え入れる前に、ペットフード協会のペットの寿命に関する調査(犬平均14・19歳、猫平均15・33歳)などをよく理解し、ペットは人間より早く年を取ることを認識しておくべきだろう。また、ペットが高齢になってきたら、動物病院の先生や専門家などがペットケアはもちろんのこと、飼い主の心のケアも必要だ。

 人とペットの共生により、生前QOL(生活の質)を高め合えた関係に感謝しつつ、悲しみを乗り越える方法を自ら考えるとともに、皆で寄り添い、サポートし合える優しい社会基盤をつくりたい。

 ■越村義雄(こしむら・よしお) 一般社団法人「人とペットの幸せ創造協会」会長。同ペットフード協会名誉会長。一般財団法人日本ヘルスケア協会理事、「ペットとの共生によるヘルスケア普及推進部会」部会長など。