【ブラックジャックを探せ】地域の開業医から厚い信頼 紹介患者は年間1500人 河北総合病院 耳鼻咽喉科部長・清水啓成さん

清水啓成さん

★河北総合病院 耳鼻咽喉科部長・清水啓成さん(51)

 JR中央線阿佐ヶ谷駅から徒歩3分。昭和3(1928)年の開院以来、90年にわたって東京・杉並の地域医療に取り組んできた河北総合病院は、26の診療科と315の病床を持つ、地域の基幹病院。

 ここの耳鼻咽喉科部長を務める清水啓成医師は、耳・鼻・喉・口腔の部位を問わず、年間300件近くの手術実績を持つオールラウンドの耳鼻科医だ。

 「子供の頃から細かい作業が得意だったので、建築家になりたかったんですよ」と笑うが、大学病院で感染症科の教授を務めていた父への反発もあったのかもしれない。

 医学部に進んでからは、生来の「手先の器用さ」を活かせる-という理由で耳鼻咽喉科を専門に選ぶ。あえて大学には残らず、症例数の多い病院に出て、ウデを磨いてきた。

 そんな清水医師のこだわりは「何でも診る」という点。脳と目以外の頭頚部の疾患なら、0歳児から100歳のお年寄りまで断ることはない。

 そうした高度な技術と守備範囲の広さは地域の開業医にも高く評価され、年間1500人の紹介患者が清水医師の外来を訪れる。この数字は同院の全診療科の中でトップだ。

 「夕方、開業医の先生から『悪いんだけど、今から患者さんを送っていい?』って電話が来ることもある。そうした要請にも応じて、必要な治療を行い、症状が安定すれば元のクリニックに患者さんをお返しする。それだけのことなんです」

 そう清水医師は語るが、患者にとって、医師同士の信頼関係の上で成り立つ連携に勝るメリットはない。

 地域への浸透度が深すぎて、たまに診療後に居酒屋で飲んでいると、患者に声をかけられて恥ずかしい思いをすることもあるという。

 古き良き時代の地域医療の姿を、高度な医療技術で描き出す。そんな無頼派の名医が阿佐ヶ谷にいる。(長田昭二)

 ■清水啓成(しみず・ひろなり) 1967年東京都生まれ。91年杏林大学医学部卒業。国立国際医療研究センターを経て独・ケルン大学留学。帰国後は国立国際医療センター、帝京大学医学部附属溝口病院、上尾中央病院、たちばな台病院(横浜市青葉区)等に勤務。2010年から現職。日本耳鼻咽喉科学会、日本アレルギー学会、日本気管食道科学会の専門医。抗菌化学療法認定医他。医学博士。趣味は「飲み歩き」。