【ベストセラー健康法】「手術数」から見えるもの トップ病院に優秀な医師が育つ好循環

『手術数でわかる いい病院2018』(朝日新聞出版)787円+税

 メディアなどで取り上げられる名医や有名病院-他の医師や病院と、いったいどこが違うのか。「手術数」を元とした病院ランキングの老舗ムックが、トップ病院の手術のすごさに密着した。医療先進国に生きる者として、最低限知っておきたい情報とデータとは…。

 2003年に第1号が世に出てから16年目。今年も最新号が発売された。

 『手術数でわかる いい病院2018』(朝日新聞出版刊)。

 全国の医療機関の手術件数を疾患ごとに集計し、件数の多い順に、全国と地域ごとにランキングするこのシリーズ。詳細に見ていくと、自分の住まいや故郷の実家の近くに、意外に実績のある病院があることが分かったりする。健康な人でも、こうしたランキングには時々、目を通しておくと面白いし便利だ。

 そんなランキングそのものの実用性はもちろんだが、毎号注目されるのが巻頭の読み物。今回も充実している。

 今回は過去15年間のランキングデータの推移を分析し、手術数ランキングで伸びた病院とダウンした病院について検証している。

 肺、肝胆膵、乳房のがん手術、心臓と心カテーテル治療の5項目について、17年実績で全国上位20位までに入った施設の過去の推移を見ているのだが、このうち半数以上の施設が、03年から継続してランキング上位に入り続けていることがわかったという。

 近年は大学の医局のしがらみを嫌い、学閥よりも実績重視で職場を選ぶ若い医師が増えている。その動きは従来の「大学病院独り勝ち」の構図を破り、特に外科においては症例数の多い病院に優秀な医師が集まるような傾向を生み出した。

 その結果、手術件数の多い病院に手術のうまい医師が集まり、またそこで手術のうまい医師が育ち、そこに患者が集まる-という好循環ができあがるようだ。

 また、年々着実にランキングを高めている病院もある。これはその病院の医療水準が上昇傾向にあることを示唆しており、病院選びにおいて有力な手掛かりとなる。同シリーズが「毎年出している」からこそ見えてくる情報といえる。

 巻頭特集では、ランキング上位の常連病院から、肺がん、大腸がん、腎がん、心臓病の4つの領域の名医に密着。患者が見ることのできない、それでいて一番知りたい手術中の動きを、詳細にリポート。そこからは、名医に、トップ病院に共通する「うまい手術」の条件が浮かび上がってくる。

 「患者は誰もが手術のうまい病院、医師にかかりたいと思いますが、その技術力の違いは一般の人にはわかりません。今年の特集では、手術数トップの病院がどんな手術をし、どこが優れているのかに迫っています」と、朝日新聞出版医療健康編集部編集キャップの杉村健氏は話している。(竹中秀二)

 ■名医の手術から見えてくる「うまい手術」の条件
 □手術時間が短い(ただし急ごうとはしない)
 □根治性が高い
 □術中の「見極め」の速さと正確さ
 □合併症がない
 □万全な治療計画
 □トラブルに対する柔軟な対応力(引き出しの多さ)
 □チーム力の高さ