【麺喰いにつき】客と作りあげた岡山『華光軒』の旨辛麺「じゃじゃめん」

『華光軒』(岡山駅前)の「じゃじゃめん」

 日本には古来からの「辛い料理」はない。しかし辛い物が好きな人は少なくない。ラーメンで見てみても「ピリ辛系」や「辛旨系」のプチご当地ラーメンが各地に存在する。例えば茨城に点在する「スタミナラーメン」、埼玉の「娘娘」系と呼ばれる「スタミナラーメン」、奈良は天理の「スタミナラーメン」。これらは名前は共通だが「辛い」のだけが共通で味は違う。辛さ=スタミナというイメージが共通認識で面白い。

 他にも名古屋の「台湾ラーメン」や宮崎の「辛麺」などもある。都内の「蒙古タンメン中本」も「旨辛系」の代表である。最近では「鬼金棒」(神田・池袋)なども同様だ。

 岡山の地元人から「辛くて名物的なラーメンがある」と聞いて行ってみた。店名を「華光軒」という。岡山駅前なのだが驚くような路地裏にあり、初めての人は迷うことになるだろう。私は行ってみて気が付いたが1度来たことがあった。その時は地元のオススメで「中華そば」を食べたのだった。昔ながらの中華そばで岡山でもトップクラスに古いお店の中華そば。食べておくべきだ、とのことで食べたのを思いだした。

 今は2代目がやっており、先代からだと七十数年の歴史がある老舗。今の代でもすでに47年になるという。その名物ラーメンは「じゃじゃめん」というが、盛岡の名物とはまったく違って、今の店主がお客さんの要望を聞いて作った創作麺料理でオリジナル。

 注文時に辛さを聞かれるが「2」はカレー屋さんのCoCo壱で例えると5倍、「3」は同じく10倍と同等の辛さらしい。「2.5」で頼んでいた人もいた。壁には「25倍完食!」の写真と色紙があった。どれくらい辛いのだろうか(試したくないけど一口食べてみたい)。

 調理工程はゆで上げた細麺ともやしを丼に入れ、その上から辛味のついたあんかけをかけて食べる和え麺。餡にはひき肉や玉ネギなどが入っており、スープはないが最後には餡や麺から出た水分でスープらしいのが残る程度。

 辛い物好きには、はまるおいしさ。他の料理もおいしく、料理のセンスはいいようだ。他の店がまねしていれば岡山名物に育ったと思うのだがあまりそういう話は聞かない。なお、この店は臨時休業が多い、というよりも「臨時営業」の店らしく、帰り際、店主からも「よう休む店ですがまた来てください」と言われた(笑)。

 ホントは昼だけで4軒行く予定だったが揚げワンタンが予想以上の量だったので諦め(この店が3軒目だった)、岡山をあとにした。

 ■ラーメン耳寄り情報 「華光軒」(岡山駅前) 創業七十数年の老舗で驚くほどの路地裏にある。辛い物好きなら岡山で知らない人はいないといわれるほどの名物料理「じゃじゃめん」。初めてなら「2」(辛さの度合い)がオススメ。

 ■大崎裕史(おおさき・ひろし) 自称「日本一ラーメンを食べた男」。2018年2月現在で1万2300軒、2万5000杯のラーメンを食破。株式会社ラーメンデータバンク代表取締役、日本ラーメン協会理事。Webおよび携帯の「ラーメンバンク」を運営している。