JR北海道のローカル線に「1日1往復」謎ダイヤ 9時過ぎ出発10時台戻り…日帰り不可能

新十津川駅に停車する1両編成のディーゼルカー

★(2)JR北海道・札沼線

 なんにも用事がないけれど汽車に乗りたい、と思い立ったところで、その汽車自体が走っていなければ乗りようがない。ところが、肝心の旅客列車が1日1往復しかなく、乗ることが極めて難しいローカル線が北海道にある。(小牟田哲彦)

 札幌駅に発着する学園都市線は、正式名称を札沼線という。札幌から約100キロ北方に位置する留萌本線・石狩沼田駅までを結ぶ路線だったことが路線名の由来(正式には札幌の隣の桑園が起点)だが、石狩沼田側の約35キロは昭和47(1972)年に廃止。その後、札幌近郊圏の拡大に合わせて札幌側の約30キロは平成24(2012)年に電化され、ICカード乗車券(Kitaka。SuicaやICOCAも使用可能)も利用できるようになった。

 一方、そこから北の約50キロは非電化・ICカード乗車券通用外区間のままで、札幌から非電化区間への直通列車もない。同じ路線なのに、まったく別の路線のようだ。

 特に、末端の浦臼~新十津川間13・8キロは、1両編成のディーゼルカーが午前中に1往復するだけ。しかも、浦臼を9時過ぎに出て新十津川で折り返し、10時台に浦臼へ戻ってくるので、朝の通勤・通学には使えない。終点の新十津川側から列車で日帰り往復することもできない。主な利用客をどう想定しているのか、理解し難いダイヤなのだ。

 1日1回の貴重な新十津川行きの列車に乗って浦臼を出ると、車内に地元客の姿はほとんどない。雪のない季節は広々とした田園風景が、冬は一面の雪原が車窓に展開する。途中駅はどこも、小さな待合室があるだけの簡素な片面ホーム。国鉄時代は北海道各地で見られた赤字ローカル線の雰囲気が、この区間には今も色濃く残っている。

 浦臼から22分で終点の新十津川に到着。駅周辺に著名な観光地などはないが、近年は「日本一終電が早い駅」として鉄道ファンが全国から訪れるようになっている。3月17日のダイヤ改正で新十津川の発車時刻が繰り下がって10時ちょうどになり、同駅で折り返す際の滞在時間が12分から32分に延びる。

 とはいえ、それで同線の利便性が飛躍的に向上するわけでもない。JR北海道は札沼線の非電化区間を「当社単独では維持することが困難な線区」の一つに挙げており、すでに沿線自治体に廃止方針を打診しているという。

 【路線案内】浦臼~新十津川間を走る列車に乗るには、札幌駅を6時58分に出る石狩当別行きに乗り、終点で新十津川行きに乗り換える。所要時間は札幌から2時間半。なお、新十津川駅は函館本線滝川駅から4キロほどの近さにあり、路線バス利用なら約30分、徒歩でも1時間以内で移動できる。