【健康誌イチオシ特報】認知症の前段階で嗅覚機能に衰え 食事やアロマの「香り」でボケ防止

においをしっかりと10秒間くらい意識的にかぐ

 2月1日発売の『健康』3月号は、「もの忘れ・ボケ防止」の大特集。近年、認知症患者が急増しています。そもそも、認知症とは脳を構成する神経細胞が急速に減少して正常な働きを失い、認知機能が低下する病気です。初期症状は、同じ話を繰り返す、鍵や財布をなくす、人や物の名前が出にくくなるといったことが挙げられます。

 また、最近の研究では、認知症の中でも多くの割合を占めるアルツハイマー型認知症において、初期症状が起こる前段階で嗅覚機能が衰える傾向にあることが明らかになってきました。

 逆を返せば認知症の早期発見と予防の鍵となるのは、嗅覚機能。鼻から入ったにおいは、大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)という部分に伝わるのですが、このとき、においの情報は、記憶をつかさどる海馬(かいば)を通ります。

 つまり、普段からにおいを意識していれば、嗅覚が刺激されることで、古い記憶が呼び起こされて、脳が活性化することが考えられるのです。

 さらに、においを感じ取る嗅細胞は、脳の神経細胞の中でも神経の再生が起こる、珍しい細胞です。

 通常、成人の脳の神経細胞は再生しないのですが、例外なのが嗅細胞や海馬の細胞といわれています。そのため、においという刺激を与え続ければ、脳の衰えた部分の再生が促進されて、認知症の予防につながると期待できるのです。

 嗅覚に刺激を与えて、脳機能を維持するための最も手軽な方法は、朝・昼・晩の食事のときに、旬の食材や香りの強い野菜、果物を使ったのにおいを10秒ほど意識的にかぐことが挙げられます。その結果、嗅細胞が刺激されて、嗅覚機能の衰えが抑制できると考えられます。

 また、より高い効果が期待できる柑橘系のアロマオイル(精油)を利用するのもおすすめです。レモンやグレープフルーツの香りには、交感神経の働きを活発にする作用があります。このように、交感神経が優位になると、脳の血管が拡張されて脳に血流が増えるため、認知症の予防につながるのです。

 実際に、介護老人保健施設でアルツハイマー型認知症患者27人を対象にした研究では、午前中に2時間、超音波式加湿器を使ってレモングラスの香りをかいでもらったところ、1カ月ほどで知的機能の改善効果が見られました。アロマオイルを使った方法としては、このように加湿器を利用する他、アロマオイルを染み込ませたガーゼを、マスクの内側に入れる「アロママスク」も簡単にできる方法です。ぜひ試してみてください。(『健康』編集長 嶋 崇)

 ■香りのかぎ方の例

 朝・昼・晩の食事のときに、旬の食材や香りの強い野菜・果物を使った料理を1つ選び、鼻に近づけてにおいをしっかりと10秒間くらい意識的にかぐ。

 化粧用コットンなどにアロマオイルと植物油(オリーブ油など)を混ぜたものを少量たらし、マスクの内側に入れ(香りが強い場合は量を調整する)マスクをつける。

 体の活動が活発になる日中に、2時間ほどマスクをつけ、自然な呼吸を心がけ、アロマの香りを楽しむ。