【週末、山へ行こう】冬の日本百名山へリフトでアクセス 上州武尊山(群馬県) 標高2158メートル

山麓から見上げる上州武尊山の堂々とした山容(川場村役場提供)

 日本百名山のひとつにもなっている、群馬県を代表する山のひとつ、武尊山(ほたかやま)。赤城山の北側、谷川岳の東側に位置する。関越道で関東から新潟方面に向かう車中から、雄大な山容を眺めることができる。

 山頂へ向かう登山ルートはいくつかあるが、いずれも山麓からの行程が長く、避難小屋泊まりだったり、長丁場の日帰り登山を強いられる。しかし冬は川場スキー場のリフトを使って、比較的短時間で山頂に向かうことができる。

 スキー場でリフト券を購入し、そのときにスキー場所定の登山届を提出する。さらに捜索ネットワークサービス「ココヘリ」の装着が義務づけられており、自分で持っていない場合はレンタルが必要だ。

 リフトを下りたところで既に標高2000メートル弱。剣ケ峰山を経て武尊山を目指す。急な登りや、緊張する岩まじりの下りなどもあるが、森林限界を超えた稜線(りょうせん)は、すばらしい展望が魅力だ。武尊山へ向かう稜線から来た道を振り返れば、剣ケ峰山の鋭い山容がため息をつくほど美しいし、目の前にそびえる武尊山の雄々しさもすばらしい。山頂は360度の大展望。谷川の山々、尾瀬の山々も一望のもとだ。

 標準的なコースタイムで5時間前後、雪山登山の初級ルートとして雑誌などでも紹介されている。登山者も多く、天気のよい週末は踏み跡もしっかりついていて歩きやすい。

 …しかしそれは「晴れて穏やかな冬の日限定」の話だ。私が歩いたときは曇りで風の強い日だった。歩き始めは踏み跡もあり多少歩きやすかったが、だんだんガスが濃くなり視界が悪くなってきた。下山時には自分たちの歩いてきたトレースが風で消え、かなり緊張を強いられた。天候や積雪などコンディションで難易度が大きく変わる「雪山」の難しさを思い知らされたのだった。

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 登山にあたっては、お住まいの地域の状況を考慮したうえで、入山可能か(入山自粛要請が出ていないか)を現地のサイトなどでご確認ください。歩行時には他の登山者との間隔をあける、飲食物のシェアを避ける、交通機関や山小屋、施設などでのマスク着用など、新型コロナウイルス感染予防の行動を心がけましょう。

 ■上州武尊山(冬)おすすめルート リフト山頂駅…剣ケ峰山…武尊山…往路を戻る…リフト山頂駅 歩行時間 約4時間30分/難易度★★★★(最高難易度★★★★★)

 ■コースガイド 川場スキー場を起点に山頂往復のルート。リフトを2本乗り継ぎ、クリスタルエクスプレス山頂駅からスタートする。尾根に取り付き、急な斜面を登り剣ケ峰山へ。剣ケ峰山から武尊山への下り始めも急で気が抜けないが、その先は進む雪稜を眺めながら心地よい尾根歩きとなる。

 ■おすすめシーズン 川場スキー場の営業期間は例年12月~4月上旬。この時期以外はリフトが運行していないので、山麓の登山口からのアプローチとなる。日帰りといえども本格的な雪山で、専用の装備が必要。

 ■西野淑子(にしの・としこ) オールラウンドに山を楽しむライター。日本山岳ガイド協会認定登山ガイド。著書に「東京近郊ゆる登山」(実業之日本社)、「山歩きスタートブック」(技術評論社)など。NHK文化センター「東京近郊ゆる登山講座」講師。