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【江口まゆみ 酔っぱライターのお酒見聞録】あえて15度まで落とした絶妙「ゆるふわ」 旨口なのにフルーティーですいすいイケる (1/2ページ)

★兵庫県「太田酒造 灘千代田蔵」(下)

 江戸城を築城した太田道灌の子孫が酒造業を始めたのは、江戸時代の後期からだった。場所は、三代将軍家光に命を受けて移り住んだ近江草津である。現在も、滋賀県草津市に酒蔵があり、太田家19代当主が社長をつとめる。昭和37(1962)年には神戸市の灘に進出し、灘千代田蔵を開いた。ここを任されているのは、太田酒造社長の甥にあたる北尾龍俊さんだ。

 灘千代田蔵を訪ねると、小さい蔵ながら、独特のコンセプトで酒をつくっていた。以前は灘でも滋賀の蔵と同じ「道灌」という銘柄をつくっていたが、3年前から新たに「千代田蔵」という銘柄をリリースし、独自路線を歩んでいるのだ。

 「千代田蔵」は、搾りたての酒が槽口(ふなくち)から出てきたばかりを、そのまま壜詰めしたような酒を目指しているので、無濾過生原酒が基本だ。

 こういう酒は、得てしてコクたっぷりで重たい酒が多いが、北尾さんの理想は、「おかわりのできる無濾過生原酒」。それには、宮水に代表される灘の水が欠かせない。柔らかい軟水ではないので、スッキリとキレる。

 しかし辛口であっても淡麗では物足りない。スッキリとしていながら、味はしっかり出したいので、酒米はフクノハナを使う。兵庫県の豊岡で作られているこの米は、とくに味の乗りが良く、北尾さんのお気に入りだ。

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