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【江口まゆみ 酔っぱライターのお酒見聞録】小西酒造の「伝統の味」進化させる開拓精神 「パック酒」のパイオニア、クラフトビール輸入もいち早く (1/2ページ)

★兵庫県「小西酒造」(上)

 シニアの方なら、「山は富士、酒は白雪」というCMを覚えているのではないだろうか。「白雪」の蔵元は、兵庫県伊丹にある小西酒造だ。

 創業は室町時代。当時の日本酒は濁り酒だった。1600年頃、山中新六幸元という人物が、摂津国鴻池村(今の伊丹市北部)で清酒醸造法を開発し、江戸で清酒を販売したところ、たちまち評判となり財をなした。以来、伊丹の酒は「丹醸(たんじょう)」といって、旨い酒の代名詞となり、江戸で将軍家の御膳酒になったという。

 この時期から、小西酒造も江戸へ出向き、清酒を販売していた。小西家二代目・宗宅氏が馬に酒樽を積み、江戸へ向かう途中のこと。富士山の雪を仰ぎ見てその気高さに感動し、清酒を「白雪」と名付けたのが、1635年頃。以来「白雪」は380年以上愛され続けた、現存する最も古い日本酒の銘柄なのである。

 だが、長い歴史に安穏としていたわけではない。1979年には業界初の口栓つき紙容器入りの酒、いわゆる「パック酒」を生み出したパイオニアだ。

 「白雪」のCMになじみのない若い世代にとっては、清酒よりクラフトビールのイメージが強いかもしれない。じつは小西酒造は30年前から、ベルギービールをはじめとしたクラフトビールの輸入をいち早く始めている。地ビール解禁の1995年からは、自らもKONISHIというクラフトビールを立ち上げた。プラントはすべてベルギー製で、つくるビールもベルギースタイルだ。